震災日記より / 寺田寅彦
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E君に青山の小宮君の留守宅の様子を見に行ってもらった。帰っての話
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一枚の焼けたトタン板が被せてあった。神保町から一ツ橋まで来て見ると気象台も大部分は焼けたらしいが官舎が不思議に残っている
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っぽく眼に滲みて進めない。その煙の奥の方から本郷の方へと陸続と避難して来る人々の中には顔も両手も癩病
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は中程の両側が少し崩れただけで残っていたが駿河台は全部焦土であった。明治大学前に黒焦の死体がころがっていて一
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ていたのが心を引いた。団子坂を上って千駄木へ来るともう倒れかかった家などは一軒もなくて、所々ただ瓦の
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暴風雨で折れたのか分らない。T君に別れて東照宮前の方へ歩いて来ると異様な黴臭い匂が鼻を突いた。空を
中が火になるかもしれないと直感された。東照宮前から境内を覗くと石燈籠は一つ残らず象棋倒しに北の方
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危険だと思ったから谷中三崎町から団子坂へ向かった。谷中の狭い町の両側に倒れかかった家もあった。塩煎餅屋の取散らされた
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があった。人通りのない町はひっそりしていた。根津を抜けて帰るつもりであったが頻繁に襲って来る余震で煉瓦壁の頽れ
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ていた。いずれも何一つ持出すひまもなく、昨夜上野公園で露宿していたら巡査が来て○○人の放火者が徘徊する
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と異様な黴臭い匂が鼻を突いた。空を仰ぐと下谷の方面からひどい土ほこりが飛んで来るのが見える。これは非常に多数の
つもりで出掛けたのであったが、あの地震を体験し下谷の方から吹上げて来る土埃りの臭を嗅いで大火を予想し東照宮の
ように焼けずに残っている。松住町まで行くと浅草下谷方面はまだ一面に燃えていて黒煙と焔の海である。煙が
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夜警で一緒になった人で地震当時前橋に行っていた人の話によると、一日の夜の東京の
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日本橋で散弾二斤買う。ランプの台に入れるため。
存外手数が掛かる。この日は二科会を見てから日本橋辺へ出て昼飯を食うつもりで出掛けたのであったが、あの地震
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原稿「石油ランプ」を書き上げた。雨が収まったので上野二科会展招待日の見物に行く。会場に入ったのが十時半
に焼払われた湯島台の起伏した地形が一目に見え上野の森が思いもかけない近くに見えた。兵燹という文字が頭に
と、近所でも家を引払ったのがあるという。上野方面の火事がこの辺まで焼けて来ようとは思われなかったが万一の
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倒潰したのだと思った、同時に、これでは東京中が火になるかもしれないと直感された。東照宮前から境内
変ったことがないような気がして、ついさきに東京中が火になるだろうと考えたことなどは綺麗に忘れていたの
ものと直感された。この雲の上には実に東京ではめったに見られない紺青の秋の空が澄み切って、じりじり暑い
ていた人の話によると、一日の夜の東京の火事は丁度火柱のように見えたので大島の噴火でないかと
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いて一枚の焼けたトタン板が被せてあった。神保町から一ツ橋まで来て見ると気象台も大部分は焼けたらしいが官舎が不思議に
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堂病院の避難所になっていると立札が読まれる。御茶の水橋は中程の両側が少し崩れただけで残っていたが駿河台は全部
た。浅草の親戚を見舞うことは断念して松住町から御茶の水の方へ上がって行くと、女子高等師範の庭は杏雲堂病院の
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でも行くような呑気そうな様子の人もあった。浅草の親戚を見舞うことは断念して松住町から御茶の水の方へ上がって行く
のように焼けずに残っている。松住町まで行くと浅草下谷方面はまだ一面に燃えていて黒煙と焔の海である。煙
帰宅してみたら焼け出された浅草の親戚のものが十三人避難して来ていた。いずれも何一
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夕方に駒込の通りへ出て見ると、避難者の群が陸続と滝野川の方へ