関東平野 根岸 上野公園 千葉 東京 上野 千住

帽を飛ばし淑女の裾を払う。寒暖二様の空気が関東平野の上に相戦うために起る気象現象である。気層の不平の結果である。

な心持がして面白い。打出されたところは昔呉竹の根岸の里今は煤だらけの東北本線の中空である。

ないと気のすまないという人がある。つい近ごろ、上野公園西郷銅像の踏んばった脚の下あたりの地下に停車場が出来て、そこから

下あたりの地下に停車場が出来て、そこから成田行、千葉行の電車が出るようになった。その開通式の日にわざわざ乗りに

（例）（昭和九年一月『大阪朝日新聞』『東京朝日新聞』）

高架線路から見おろした三河島は不思議な世界である。東京にこんなところがあったかと思うような別天地である。日本中にも

小さな不連続線が東京へかかったと見えて、狂風が広小路を吹き通して紳士の帽を飛ばし淑女

のである。（昭和九年一月『大阪朝日新聞』『東京朝日新聞』）

見るものはないので、すぐに「転向」してまた上野行に乗込み、さて車内の乗客を見渡すと、先刻行きに同乗した見覚え

て線路が無暗に彎曲しているようである。この「上野の山の腹わた」を通り抜けると、ぱっと世界が明るくなる。山のどん底

妙に大きく正面をにらんでいるのが気になった。上野で乗換えると乗客の人種が一変する。ここにも著しい異質の接触がある

式の日にわざわざ乗りに行った人の話である。千住大橋まで行って降りてはみたが、道端の古物市場の外に見る

千住大橋でおりて水天宮行の市電に乗った。乗客の人種が自分の