青山 本郷 熊本 東京 日比谷 神田

（例）昨日青山の宿から

「明治四十四年十一月二十八日――昨日青山の宿から本郷の下宿へ移った。朝押し入れから蒲団や行李を引き出して荷造り

「明治四十四年十一月二十八日――昨日青山の宿から本郷の下宿へ移った。朝押し入れから蒲団や行李を引き出して荷造りをしている

なものをかいたりしたのもある。私はそのころ熊本で夏目先生に句を見てもらっていた。そして帰省すると甥に

私が大学へ移ったのと入り代わりぐらいに、亮は熊本の高等学校へはいった。同じ写生帳の後半にはそこの寄宿舎や、日奈久温泉

の従兄に当たっている。少年時代には藩兵として東京に出ていたが、後に南画を川村雨谷に学んで春田と号し

を相手にしていろいろの昔話をした。若い時分に東京で習ったとかいう講釈師の口まねをしたりして皆を笑わせた

弱いからだにとうとう不治の肺患が食い込んでしまった。東京の医師に診てもらうために出て来て私のうちで数日滞在

をしたりして皆を笑わせた。藩兵になって日比谷の藩公邸の長屋にいた時分の話なども、なんべん同じ事を

ができた。しかし卒業したのはやはりうれしかった。そして神田の西洋料理でやった謝恩会へも出た。しかし黙ってすみのほうへ