アルプス シベリア 奈良 東京 銀座

があるかどうかわからない。少なくもアメリカの百万長者がアルプスの空気と光線に健康とエネルギーを求めて歩く間に、多くの日本人の観光客

、もう一つのおみやげには思い思いのカメラの目にアルプスの魂を圧縮して持ち帰ろうとするであろう。

には風景という言葉は存在理由がないはずである。シベリアの農民やモンタナのインド人にこの言葉があるかどうか聞いてみたい。英語

六国史などを読んで、奈良朝の昔にシナ文化の洪水が当時の都人士の生活を浸したころの

このごろ時々写真機をさげて新東京風景断片の採集に出かける。技術の未熟なために失敗ばかり多くて獲物は

な顔をして隣り合い並び立って、仲よくにぎやかに一九三一年らしい東京ジャズを奏しているのである。こういうものに長い間慣らされて来

ころの状態をいろいろに想像してみると、おそらく今の東京とかなり共通な現象を呈していたのではないかと思われること

に多様な模様を染め付けられた国の首都としての東京市街であってみれば、おもちゃ箱やごみ箱を引っくり返したような乱雑さ、ないし

いちょうの黄葉は東京の名物である。しかしいくらとっても写真にはあの美しさは出しようがない

手近な些末な例をあげると、銀座の裏河岸のある町の片側に昔ふうの荷車が十台ほどもずらり