比叡山 奥州 高野山 奈良 仙台

気持でもあった。これまでの疲れというのは、比叡山で連日『歌』の修行をし、心身へとへとになったのをいうので

その途中で一人の青年に会った。その青年は矢張り比叡山上で私等と一しょに歌の修行をし、会の散じてから単独で

『右手鳥居なかの一本は奥州仙台伊達政宗公。赤いおたまやは井伊かもんの守』こういうことを

観相をば附加える。しばらく景色を見ていた皆は、高野山の好い山であるということに直ぐ気がついた。徒歩の二人はもう

に往反したところを辿って行った。この仏法僧鳥は高野山に啼く霊鳥で、運好くば聴ける、後生の好くない者は聴けぬ。それ

翌朝Ｔ君は、起きると直ぐ高野山の地図を買って来て調べていた。貧しい朝食をすまして横になっ

ようになって横わっているのを見たときには、高野山上をどうしても捨てがたかった。または金堂の中にいて轟く雷鳴

私等はこういうような経験をして高野山をくだった。そして和歌の浦まで来たが、もう海水浴も過ぎた頃な

四つも競って啼いた。その声は如何にも清澄で高野山上で聴いたのよりももっともっと美しかった。それから三峰では直ぐ頭の

大正十四年八月四日の朝奈良の宿を立って紀伊の国高野山に向った。吉野川を渡り、それ

『右手鳥居なかの一本は奥州仙台伊達政宗公。赤いおたまやは井伊かもんの守』こういうことを