妙な話 / 芥川竜之介

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地名一覧

佐世保

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村上はふと思い出したように、今は佐世保に住んでいる妹の消息を話題にした。

さ。君にはまだ話さなかったかしら。これはあいつが佐世保へ行く前に、僕に話して聞かせたのだが。――」

それからまた半月ばかりの後、千枝子夫婦は夫の任地の佐世保へ行ってしまったが、向うへ着くか着かないのに、あいつのよこした

鎌倉

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た、寒さの厳しい午後だったが、千枝子は久しぶりに鎌倉へ、遊びに行って来ると云い出した。鎌倉にはある実業家の細君に

久しぶりに鎌倉へ、遊びに行って来ると云い出した。鎌倉にはある実業家の細君になった、あいつの学校友だちが住んでいる。―

を監視していそうな心もちがする。こうなるともう鎌倉どころか、そこにいるのさえ何だか気味が悪い。千枝子はとうとう傘も

夫と話しているらしい譫言ばかり云っていた。が、鎌倉行きの祟りはそればかりではない。風邪がすっかり癒った後でも、赤帽

マルセイユ

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、こう云う話をし出したそうだ。――夫がマルセイユに上陸中、何人かの同僚と一しょに、あるカッフェへ行っていると、

卓子の側へ歩み寄って、馴々しく近状を尋ねかけた。勿論マルセイユの往来に、日本人の赤帽なぞが、徘徊しているべき理窟はない。が

、二度までも怪しい赤帽に遇ったと云う。ではマルセイユで見かけたのは、その赤帽かと思いもしたが、余り怪談じみて

いた。が、今顔を出した赤帽を見たら、マルセイユのカッフェにはいって来た男と、眉毛一つ違っていない。――

銀座

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ある冬の夜、私は旧友の村上と一しょに、銀座通りを歩いていた。

東京

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「ああ、この頃はずっと達者のようだ。あいつも東京にいる時分は、随分神経衰弱もひどかったのだが、――あの時分

神保町

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ぼんやり海の景色が映るのだそうだ。電車はその時神保町の通りを走っていたのだから、無論海の景色なぞが映る道理