東京 銀座 浅草

は若い奥さんなのです。外交官の夫人なのです。勿論東京の山の手の邸宅に住んでいるのですね。背のすらりとした、

いるのですよ。護憲運動のあった時などは善良なる東京市民のために袋叩きにされているのですよ。ただ山の手の巡回中

邸宅に暮している。一しょに音楽会へ出かけることもある。銀座通りを散歩することもある。………

ずっと前です。……一しょに音楽会へ出かけることもある。銀座通りを散歩することもある。あるいはまた西洋間の電燈の下に無言の

とにかく西洋間さえあれば好いのです。その西洋間か、銀座通りか、音楽会かを第一回にするのですから。……しかし

ことは出来ません。何しろ達雄は飯を食うために、浅草のある活動写真館のピアノを弾いているのですから。