本所 武蔵野 東京 田端 京橋

てしまつたわけではない。僕は或る夏の暮れ方、本所の一の橋のそばの共同便所へ入つた。その便所を出て見ると

、妙に宿場じみ、新開地じみた町の感じや、所謂武蔵野が見えたりして、安直なセンチメンタリズムが厭なのである。さういふものゝ

東京に生れて

は麻痺し切つてゐるといつてもいゝ。従つて、東京の印象といふやうなことは、殆んど話すことがないのである。

生れ、東京に育ち、東京に住んでゐる。だから、東京に対する神経は麻痺し切つてゐるといつてもいゝ。従つて、東京

ない。ところが、僕は東京に生れ、東京に育ち、東京に住んでゐる。だから、東京に対する神経は麻痺し切つてゐると

がなければならない。ところが、僕は東京に生れ、東京に育ち、東京に住んでゐる。だから、東京に対する神経は麻痺し

、或る新鮮さがなければならない。ところが、僕は東京に生れ、東京に育ち、東京に住んでゐる。だから、東京に対する

僕に東京の印象を話せといふのは無理である。何故といへば、或る印象

は、西洋風の橋に変つてゐる。そのために、東京の印象といふやうなものが、多少は話せないわけでもない。殊に

しかし、こゝに幸せなことは、東京は変化の激しい都会である。例へばつい半年ほど前には、石

大体にいへば、今の東京はあまり住み心地のいゝところではない。例へば、大川にしても

尤も、今の東京にも、昔の錦絵にあるやうな景色は全然なくなつてしまつたわけ

である。さういふものゝ僕の住んでゐる田端もやはり東京の郊外である。だから、あんまり愉快ではない。

厭なのである。さういふものゝ僕の住んでゐる田端もやはり東京の郊外である。だから、あんまり愉快ではない。

へばつい半年ほど前には、石の擬宝珠のあつた京橋も、このごろでは、西洋風の橋に変つてゐる。そのために、