捨児 / 芥川竜之介
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を出したばっかりに、とうとう家産を蕩尽して、夜逃げ同様横浜へ落ちて行く事になりました。が、こうなると足手まといなのは
「それからわずかの知るべを便りに、汽車にも乗らず横浜へ行くと、夫はある運送屋へ奉公をし、女はある糸屋の下女
大抵御察しがつくでしょう。勇之助は母親につれられて、横浜の家へ帰りました。女は夫や子供の死後、情深い運送屋主人夫婦の
浅草田原町に米屋を出していたと云う事や、横浜へ行って苦労したと云う事は勿論嘘じゃありません。が、捨児
に、死んでしまったとか云う事でした。それから横浜へ帰って後、早速母に知れないように戸籍謄本をとって見ると、なるほど
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通り私の店は綿糸の方をやっていますから、新潟界隈を廻って歩きましたが、その時田原町の母の家の隣
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も知れませんが、日錚和尚と云う人は、もと深川の左官だったのが、十九の年に足場から落ちて、一時正気を
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(例)浅草
「浅草の永住町に、信行寺と云う寺がありますが、――いえ、
「ちょうど今から五年以前、女の夫は浅草田原町に米屋の店を開いていましたが、株に手を出し
「夫が浅草田原町に米屋を出していたと云う事や、横浜へ行って苦労
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しかも生憎女には乳がまるでなかったものですから、いよいよ東京を立ち退こうと云う晩、夫婦は信行寺の門前へ、泣く泣くその赤子を捨て
殊に女は赤子の口へ乏しい乳を注ぐ度に、必ず東京を立ち退いた晩がはっきりと思い出されたそうです。しかし店は忙しい。子供
がしたのでしょう。女はすぐさま汽車に乗って、懐しい東京へ着くが早いか、懐しい信行寺の門前へやって来ました。それ
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「ちょうど今から五年以前、女の夫は浅草田原町に米屋の店を開いていましたが、株に手を出したばっかり
に戸籍謄本をとって見ると、なるほど袋物屋の言葉通り、田原町にいた時に生まれたのは、女の子に違いありません。しかも生後
ますから、新潟界隈を廻って歩きましたが、その時田原町の母の家の隣に住んでいた袋物屋と、一つ汽車に
「夫が浅草田原町に米屋を出していたと云う事や、横浜へ行って苦労した