芋粥 / 芥川竜之介
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物はない、餅、伏菟、蒸鮑、干鳥、宇治の氷魚、近江の鮒、鯛の楚割、鮭の内子、焼蛸、大
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やうな肩を、丸々と出してゐるのは、大方、比叡の山であらう。二人はその中に鞍の螺鈿を、まばゆく日にきらめかせながら
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中の一人に、或無位の侍があつた。これは丹波の国から来た男で、まだ柔かい口髭が、やつと鼻の下に、
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「実はな、敦賀まで、お連れ申さうと思うたのぢや。」笑ひながら、利仁は鞭を挙げ
「敦賀と申すと、あの越前の敦賀でござるかな。あの越前の――」
「敦賀と申すと、あの越前の敦賀でござるかな。あの越前の――」
利仁が、敦賀の人、藤原有仁の女婿になつてから、多くは敦賀に住んでゐると
敦賀の人、藤原有仁の女婿になつてから、多くは敦賀に住んでゐると云ふ事も、日頃から聞いてゐない事はない。が
も、日頃から聞いてゐない事はない。が、その敦賀まで自分をつれて行く気だらうとは、今の今まで思はなかつた。
、山科。山科ぢやと心得れば、三井寺。揚句が越前の敦賀とは、一体どうしたと云ふ事でござる。始めから、さう仰せられう
うなら、下人共なりと、召つれようものを。――敦賀とは、滅相な。」
「あれに、よい使者が参つた。敦賀への言づけを申さう。」
出してかう云つた。「其方、今夜の中に、敦賀の利仁が館へ参つて、かう申せ。『利仁は、唯今俄に客人
が、その芋粥を食ふ為に京都から、わざわざ、越前の敦賀まで旅をして来た事を考へた。考へれば考へる程、何一つ
乾いてゆくのを感じた。晴れてはゐても、敦賀の朝は、身にしみるやうに、風が寒い。五位は慌てて、鼻
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「敦賀と申すと、あの越前の敦賀でござるかな。あの越前の――」
敦賀と申すと、あの越前の敦賀でござるかな。あの越前の――」
思はなかつた。第一、幾多の山河を隔ててゐる越前の国へ、この通り、僅二人の伴人をつれただけで、どうして無事
心得れば、山科。山科ぢやと心得れば、三井寺。揚句が越前の敦賀とは、一体どうしたと云ふ事でござる。始めから、さう仰せ
、自分が、その芋粥を食ふ為に京都から、わざわざ、越前の敦賀まで旅をして来た事を考へた。考へれば考へる程、何
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なかつたとしたら、彼は恐らく、そこから別れて、京都へ独り帰つて来た事であらう。
してゐれば、少しも苦にならない。万事が、京都の自分の曹司にゐた時と比べれば、雲泥の相違である。が
た。さうして、自分が、その芋粥を食ふ為に京都から、わざわざ、越前の敦賀まで旅をして来た事を考へた。