回向院 天城山 赤城山 本所 鳥取 蔵前 東京 浜町 両国橋

僕は当時回向院の境内にいろいろの見世物を見たものである。風船乗り、大蛇、鬼の

だけである。（彼はそれから何か月もたたずに天城山の雪中に凍死してしまった）しかし僕は社会主義論よりも彼の獄中生活など

たぶんまだ残雪の深い赤城山へ登った時であろう。西川はこごみかげんに歩きながら、急に僕にこんなこと

そのころはまた本所も井戸の水を使っていた。が、特に飲用水だけは水屋の水

本所の寿座ができたのもやはりそのころのことだった。僕はある日

僕の柔道友だちは西川英次郎一人だった。西川は今は鳥取の農林学校か何かの教授をしている。僕はそののちも秀才

ていた。この人は酒だの遊芸だのにお蔵前の札差しの身上をすっかり費やしてしまったらしい。僕はこの「お師匠

は同氏の文章にいまだに愛惜を感じている。ことに東京の空を罩める「鳶色の靄」などという言葉に。

中学は秋になると、発火演習を行なったばかりか、東京のある聯隊の機動演習にも参加したものである。体操の教官―

あらゆる東京の中学生が教師につける渾名ほど刻薄に真実に迫るものはない。僕

僕は中学で柔術を習った。それからまた浜町河岸の大竹という道場へもやはり寒稽古などに通ったものである。中学

、いろいろの噂が伝わりだした。しかし事実は木橋だった両国橋の欄干が折れ、大勢の人々の落ちた音だった。僕はのちに