長江游記 / 芥川竜之介
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午後の一時頃だった。この又避暑地の一角なるものが軽井沢の場末と選ぶ所はない。いや、赤禿の山の裾に支那のランプ屋
屋だの酒桟だのがごみごみ店を出した景色は軽井沢よりも一層下等である。西洋人の別荘も見渡した所、気の利いた
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尊重するように努めなければならぬ。上海の大馬路はパリのようである。北京の文華殿にもルウブルのように、贋物の画など
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(例)長江
これは三年前支那に遊び、長江を溯った時の紀行である。こう云う目まぐるしい世の中に、三年前の紀行
私は長江を溯った時、絶えず日本を懐しがっていた。しかし今は日本に
しかし今は日本に、――炎暑の甚しい東京に汪洋たる長江を懐しがっている。長江を? ――いや、長江ばかりではない、
―炎暑の甚しい東京に汪洋たる長江を懐しがっている。長江を? ――いや、長江ばかりではない、蕪湖を、漢口を、廬山
長江を懐しがっている。長江を? ――いや、長江ばかりではない、蕪湖を、漢口を、廬山の松を、洞庭の波を
逸氏なぞと愉快に溯江を続ける事が出来た。何しろ長江は大きいと云っても、結局海ではないのだから、ロオリングも来なけれ
、悠々と西へ進むのである。この点だけでも長江の旅は船に弱い私には愉快だった。
「長江は水が低くってね、両岸がずっと高いから、船の高い所へ上るん
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ていた。しかし今は日本に、――炎暑の甚しい東京に汪洋たる長江を懐しがっている。長江を? ――いや、長江
と云う。するとルウズ氏は頑強に、では或日本東京の少女は、――と又実例をつきつけ始める。とうとうしまいには相手の
の透いて見える家々の窓を見下していた、いつか東京に残して来た子供の顔などを思い出しながら。
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。が、園へはいった時の感じは、洪水後の向島あたりと違いはない。花木は少いし、土は荒れているし、「