護国寺 飯田橋 銀座 東京

。「先生、どうしました」と云ふと「今、護国寺の三門で、運慶が仁王を刻んでゐるのを見て来た所

所が飯田橋の乗換でふと気がついて見ると、窓の外の往来に、妙

が流行るにしても、正物の寒山拾得が揃つて飯田橋を歩いてゐるのも不思議だから、隣の道具屋らしい男の袖を引張

に入れて、家へ帰つたら早速、漱石先生へ、今日飯田橋で寒山拾得に遇つたと云ふ手紙を書かうと思つた。さう思つたら

友だちの豊干禅師つて大将も、よく虎に騎つちや、銀座通りを歩いてますぜ。」

書かうと思つた。さう思つたら、彼等が現代の東京を歩いてゐるのも、略々無理がないやうな心もちがした。