廿年後之戦争 / 芥川竜之介
地名一覧
早稲田
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近代の大文豪其名海内に轟ける芥川龍之介(エヘン)氏は早稲田の別邸に引こもり大日仏戦史著作中なり 挿画は一切棚橋弟丸画伯に
立山
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の出艦でこのホノルヽを出た 我艦隊は旗艦「立山」を先鋒として二列縦陣を作り殿艦は桜山と弥彦とであつ
ボルドー
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ボルドー発 仏国大西洋艦隊入港せり 潜航艇五隻附随
両国
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兵と珈琲店に於て争論を引き起し其場に居合せたる日仏両国の水兵は各々其味方をなし果は双方打擲に及び剰へ其処に掲げられし御神影
本国政府の訓令をうけて其出港を防圧しこゝに於て日仏両国の海戦は開かれたる也 情報屡至れども確報未不至 東京の市民ひとしく疑
巴里
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に当地に着したり 彼は昨夜睡眠中二時間内に巴里を引払ふべき訓令に接し守兵に擁せられてベルギーの国境をこへそれ
東京
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一九二六年四月二十日水曜日の朝端しなくも東京に発表せられしロイテル電報は政治社会及商業社会に少なからぬ畏懼と
ホノルヽ騒擾の報伝ると共に東京又騒擾の巷となれり 号外電信は乱雲の如く東西南北に飛び市民は
始めたり其詳報は接する由なし 開戦の宣告は疑なく東京に向て発せられたる也 そは午後なるものゝ如し仏京に於ける
は開かれたる也 情報屡至れども確報未不至 東京の市民ひとしく疑念を以て之を待ちしが程なく疑念は変じて悲痛
一九二六年四月二十四日東京に達せし日本太平洋艦隊司令官の報告に曰く