鼠小僧次郎吉 / 芥川竜之介
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「へん、こけが六十六部に立山の話でも聞きやしめえし、頭からおどかしを食つてたまるものかえ。
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や無理は無えの。いや、鼠小僧と云ふ野郎も、改代町の裸松が贔屓になつてくれようとは、夢にも思つちや居無えだら
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汐留の船宿、伊豆屋の表二階には、遊び人らしい二人の男が、さつき
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なら無えから、忘れもし無え、極月の十一日、四谷の荒木町を振り出しに、とうとう旅鴉に身をやつしたが、なりは手前も知つ
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まだ甘えものだ。かう、よく聞けよ。ついこの中も小仏峠で、金飛脚が二人殺されたのは、誰の仕業だと思やがる。」
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通りがかりの人目にも、気の毒たらしかつたのに違え無え。府中の宿をはづれると、堅気らしい若え男が、後からおれに追ひついて、
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も、葭戸こそもう唐紙に変つてゐたが、江戸に未練の残つてゐる夏は、手すりに下つてゐる伊予簾や、
云ふ訳での、おれもやつと三年ぶりに、又江戸へ帰つて来たのよ。」
「だがの、おれが三年見無え間に、江戸もめつきり変つたやうだ。」
、まるでこの世の極楽さね。ねえ、親分、お前さんが江戸を御売んなすつた時分にや、盗つ人にせえあの鼠小僧のやうな
三年前、おれが盆茣蓙の上の達て引きから、江戸を売つた時の事だ。
に手をかけちや、今朝四谷から新宿と踏み出して来た江戸の方を、何度振り返つて見たか知れやし無え。
「時に旦那は江戸でござりやせう。江戸はどの辺へ御住ひなせえます。」
「時に旦那は江戸でござりやせう。江戸はどの辺へ御住ひなせえます。」
「茅場町の植木店さ。お前さんも江戸かい。」
とまあ、云つた調子での。同じ江戸懐しい話をしながら、互に好い道づれを見つけた気でよ、一しよに路
が、こつちや災難だ。何を云ふにも江戸を立つて、今夜が始めての泊りぢやあるし、その鼾が耳へつい
中でも鼻唄を唄つてゐるかも知ら無えが、江戸にやおれがゐ無えばかりに、一人や二人は夜の目も寝無えで、案じ
。だがおれの官禄は、まだまだそんな事ぢや無え。今度江戸をずらかつたのは、臍繰金が欲しいばかりに二人と無え御袋を、おれ
「図星を指されちや仕方が無え。如何にも江戸で噂の高え、鼠小僧とはおれの事だ。」
手前にやまだ明さなかつたが、三年前に鼠小僧と江戸で噂が高かつたのは――」
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にやなら無えから、忘れもし無え、極月の十一日、四谷の荒木町を振り出しに、とうとう旅鴉に身をやつしたが、なりは手前も
形無しよ。おれは菅笠の縁に手をかけちや、今朝四谷から新宿と踏み出して来た江戸の方を、何度振り返つて見たか知れ
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「私は甲府まで参りやす。旦那は又どちらへ。」
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「へえ、私は深川の六間堀で、これでも越後屋重吉と云ふ小間物渡世でござりやす。
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。おれは菅笠の縁に手をかけちや、今朝四谷から新宿と踏み出して来た江戸の方を、何度振り返つて見たか知れやし
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路は、とても捗が参りやせんから、今日の中に八王子までのして置かうぢやござりやせんか。」
見りや、その気になつての、雪の中を八王子まで、辿りついたと思ひねえ。もう空はまつ暗で、とうに白くなつ
なくつて好い。だが私は生憎と、始めて来た八王子だ。何処も旅籠を知ら無えが。」