大菩薩峠 30 畜生谷の巻 / 中里介山

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地名一覧

高麗

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剣には、昔から異国人が思いをかけている。一度高麗の奴に盗み出されたことがあったが、それは神剣の威光で無事戻っ

白川郷

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「きまってますよ、平家の落人にきまってますよ、白川郷っていうんでしょう」

「はい、その白川郷の……」

「白川郷は、いいところですってね」

も、悪いところにも、先祖以来、わしどもは、その白川郷から足を踏み出したことがございませんから、比較するにも、比較すべき

「実はねえ、お爺さん、わたしもその白川郷というところへ行って、一生を暮らしてしまいたいと思っているのよ」

ございました、ほかの世界には生きられないから、この白川郷へ来たものでござんすよ」

行っても安心して住めるところがないから、一生をその白川郷へ埋めてしまいたい、という真剣な心持がお爺さんにはわからないの

の沙汰ではありません。お爺さん、後生ですから白川郷へ行く道を教えて下さいな」

「それは教えて上げない限りもございませんが、白川郷へ行く道は、並大抵の道ではありませんよ、まあ、あの白山を

て白川の山々谷々の間にあるのが、俗にいう白川郷でして、一口に白川郷とは言いますが、あれで四十三カ村でございます

にあるのが、俗にいう白川郷でして、一口に白川郷とは言いますが、あれで四十三カ村でございますよ」

して、お爺さん、いやな名前ですけれども、この白川郷のうちに、畜生谷というところがあるそうですね」

、わたしは今、誰が何と言いましても、その白川郷の中へ、落着きたい心持でいっぱいなのよ。人が世間並みに生きて

でさえが、わたしを落着かせてはくれないのです。白川郷ならば、全く浮世のつまらない心づかいから離れて、生きられるように生き、何

、生かせて行ってくれる世界――それが欲しいのです。白川郷には、その世界が、立派にあるそうです。なんでもかんでも、

あなたがお入りになれば、わたしがおぶって上げて、白川郷までまいりますと申し上げたのを、いつのまにか、あなたは本当にこの

だし、そんならばいっそ久助さんをもまき添えに、白川郷まで引張りこんでしまおうかしら。

白川郷へ、白川郷へというお雪ちゃんの空想がさせる大胆な冒険は、もう心のうち

本所

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鉄太郎はこの土地で育ったが、生れはやっぱり江戸だ、本所の大川端の四軒屋敷で生れたのだ、祖父の朝右衛門がここの郡代になる

軽井沢

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てよかったと思ったが……奴がいてごろうじろ、軽井沢の伝で、棒切れを振り廻された日には、せっかくの御趣向が水に

白川

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「その白山の白水の滝が落ちて流れて、この白川の流れになるのでございます」

相生町

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ぞという気位で、羽織、袴に威儀をただして、相生町の碁所へでも出かけるような装いに、逆薤の面を振り立て、大気取り

江戸

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生のままの平家の侍大将ではなく、お雪ちゃんが江戸見物に行った時分に見た、小団次だったか、松助だったか知らない

があって、それが後に山岡姓をついで、当時江戸の講武所で名うての剣道者となっている。

よると、鉄太郎はこの土地で育ったが、生れはやっぱり江戸だ、本所の大川端の四軒屋敷で生れたのだ、祖父の朝右衛門がここの

い、ここで手ほどきをしたというわけではない、江戸で近藤弥之助やなんぞについて、その以前にやったのだが、引続いて

の中では本当の修行はできやせん、まもなく江戸へ上って、鍛えたから、まあ当今あれだけになったものさ。ははあ、

て、多少の同志の者を連れて随所を横行し、江戸の三田の四国町の薩摩屋敷の中へ乗込んで、若干の兵を貸せ、

家の子のように呼捨てにして憚らないことのみならず、江戸の将軍一族に対しても、或いは家茂がと呼び、慶喜がと呼んでいる

なかったのではありませぬか。今、かりに、江戸の幕府が倒れても、長州とか、薩摩とかが代って天下を取る

たが、こうして泰平楽に酔いきっている時、江戸で、その本城を衝かれていることなんぞも、更にお気附きのあろうはず

江戸に残された、道庵の股肱と頼まれたデモ倉とプロ亀――

で胸が透いたろう、道庵の奴、いい気持で、江戸へ帰りつく時分には、お株はすっかり橋庵先生に奪われて、立場を

、道庵のほかは人が無いようになってしまう。江戸の方で、天晴れ足許をさらったつもりでいる間に、道庵の翼が

にするわけにはゆかないし、さりとて、伝手を求めて江戸へ送り届けて置くということなんぞは理が通らないし、買い取った以上、徹底的

は軍艦四艘、人員二千人足らずであったが、江戸へは六百艘八万人と伝わり、京都へは三十万人と伝えられたそうな

江戸を出る時は、無論、道庵の慈姑頭で出て来たが、信州へ

それが自然、こんど江戸から来たエライ先生、珍しい先生の講演をも聞いて行こうという気になっ

ただ、江戸から来た珍客のエライ先生――という尊敬心が先入となっているの

江戸の方面に於ては、道庵牽制運動のために、安直先生と、金茶金十郎

名古屋城

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。それにしても、こんな大勢の折助が、まさか、名古屋城攻撃に出かけたわけでもあるまいが、折助もこうたくさんになると一勢力

薩摩

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尾州家を呼ぶにも同じく呼捨てであり、談が長州、薩摩の大守のことに及ぶと、これらの大名をつかまえ、自分の家の子のよう

かりに、江戸の幕府が倒れても、長州とか、薩摩とかが代って天下を取るようになりますと、つまり公家の御威勢を

熊野

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「熊野にいた時は、時候もよくあったし、海が近いから、毎日泳ぎ

剣岳

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たが、多分そうなんでしょう。でなければ、越中の剣岳をめざしていたもんだから、ついついあちらの方から飛騨方面に迷いこんでしまっ

名古屋

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この辺で、名古屋で大持てのために有頂天になった頭の上へ、したたかに冷水をあびせられ

亀が腮を撫でましたが、ここに風のたよりに名古屋に於ける道庵の人気を聞くと、たまらないものがあります。名古屋に

道庵の人気を聞くと、たまらないものがあります。名古屋に於て道庵が、ほとんど国賓待遇を受けているということを聞くと

そのはずです。日中には名古屋の市街から、宮、熱田を七里の渡しの渡頭まで行って、更に引返し

。目が醒めたら御飯を食べさせて、わたしたちは先へ名古屋へ行っているから、これこれのところへ、あとから尋ねておいで……

「名古屋の香具師に売ることになりました」

ほどなく、鳴海の宿で、名古屋へ向って行く大八車の上に、上述の穀物の片荷と、その間に

意気揚々……というほどでもないが、米友は車上で名古屋へ乗込むという段取りになったのは、思うに、さいぜん交渉に及んだ買収

こうして米友がかなり御機嫌よく車上の客となって、名古屋へ乗込んで行く光景を見れば、事の交渉は、双方の折合いで無事に

いられない、子供じゃあるまいし。それに今日は、名古屋で行きつき先がきまっているのだから、やがて庄公が、尋ね出してお

申して来るに相違ない、ままよ、これから一足先に名古屋へ伸しちまえ、宿について、ゆっくり待ち構えていた方がいい、たまには

な中ッ腹で、お角は、宮の鳥居前から、名古屋へ向けて、駕籠を飛ばさせることにきめてしまいました。

海から軍艦で来た異国人であるそうだ、やがて熱田から名古屋が焼き払われる――この風聞が街道筋を矢のように飛びました。

「ままよ、こうして名古屋まで伸しちまえ」

て、中ッ腹で鳥居前を出かけたのだが、名古屋まで行くのに、駕籠をそんなに飛ばせなくてもいいはずだが、自分

「名古屋まで行くうちには、車力が追附いて来るだろうと思うんで。そうで

「もしお前、車力が戻って来なければ、名古屋までそうして引張って行ってやるつもりかエ」

「友さん、そうしてお前、いったい、その荷物は、名古屋のどこのなんといううちまで引いて行くのだエ」

「そうして、そのめざす相手の香具師というのは、名古屋の何というところの、何という人?」

「名古屋も広いね、香具師だって、一人や二人じゃあるまい」

庵のあこがれの地でございました。生涯に一度は、名古屋の地、尾張の国の土を踏ませていただきたいとの念願が叶いまし

』の真似事を試みまして、そうして、後にこの名古屋の城下に御見参に参った次第なのでございます。つづいて、信長、

酔っているにしても、容易ならぬ暴言である。名古屋に人間無きかの如くコキ下ろすのはいいとしても、ここの城主、

湯島

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会場は、湯島の千本屋。

加賀

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方に高く聳えておりましょう、御存じですかね、あれが加賀の白山でございますよ」

「まあ、あれが加賀の白山でしたか」

「あれが、加賀の白山の白水の滝でございます、有名な……」

かか(加賀)のいうこときけばよい

関東

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落着くかわからない時代じゃ、宇津木、そなたはどう思います、関東の政治が続くか、公家の世となるか……そなたも、諸国を歩い

は、いっこう天下の形勢などわかりませぬが、しかし、もはや関東の勢力も末で、世の改まるのは時間の問題に過ぎないとは、

岐阜

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の日和を見たり、これから飛騨の高山から、美濃の岐阜へ出て東海道を下るか、そうでなければ木曾路へ出て、ゆるゆる

から越中へ出る街道がある。南へ折れれば南信濃か、岐阜方面へ出るが、真直ぐに行くと白川街道だと教えられる。

水戸

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「近来浪人共、水戸殿浪人或は新徴組抔と唱へ、所々身元宜者共へ攘夷之儀を

つまり、近来、浪人と称するものが、或いは水戸家の浪人とか、新徴組とかいって、相当の資産ありそうな

城下ではないために、勤王を標榜するやからよりは、水戸とか、新徴組とかいって入り込む方が今のところ、便宜がよろしい

水戸の生れだということだが、そうだとすれば、どうして直轄地

甲府

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なら、相当に冒険が無いとは言えない身の上だが、甲府城下では、あんなことになったのは是非もないが、その他の

へ乗込んで、若干の兵を貸せ、その兵をもって甲府を抑え、飛騨を取らんと申し入れて、さしもの豪傑連に舌を捲か

できない。彼等の中には、幕府を制するには甲府をおさえ、飛騨を取らねばならぬということに精細な研究を積み

京都

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が屋敷といっても仮の宿じゃ、本当の家は京都の今出川にあるが、ここでわしのために定めてくれた家は、

もしお雪ちゃんが、一度京都あたりを見て来た人であるならば、この宮川のほとりへ来て

ないことに立至るのです。先輩の弥次郎兵衛、喜多八は、京都で梯子を一梃売りつけられたのでさえも、あの通り困憊しきって

であったが、江戸へは六百艘八万人と伝わり、京都へは三十万人と伝えられたそうな。彼等の祝砲に驚いて仏壇

です。この分では、道中、相当にかくし了せて、京都へ着く時分には、地髪で通れるようになるだろう。

浦賀

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町並、街道筋の驚愕と狼狽――ひとたび、浦賀へペルリが来てから以来、日本人の神経は過敏になり過ぎているよう

浦賀へ来たペルリは軍艦四艘、人員二千人足らずであったが、