甲賀郡 石山寺 改代町 熊谷 本能寺 浅間 長命寺 宇治 追分 本所 相生町 江戸 桑名 四国 比叡 草津 志賀 堅田 お台場 薩摩 牛込 越前 六波羅 大阪 甲州 琵琶湖 加賀 伊勢 安土 根岸 岩戸山 高尾山 姉川 甲州街道 奈良 金沢 富山 京都 甲府 高松 大津 仙台 水戸 高知 熊本 長崎 深川 上野 八王子 神田 新宿 高尾 表参道 品川

地点へ向って流れ落ち、溢れて来る。たとえば、野洲郡と甲賀郡の嘆願組が合流して水口に廻ろうとすると、栗田郡の庄屋が戸田

丙の郡の農民が結束して集まるもの数千人、ことに甲賀郡西部方面から押し出した農民は、水口藩警固の間をそれて権田川原に屯

三井、阪本、大津、膳所、瀬田の唐橋と石山寺が、盆景の細工のように鮮かに点綴されている。

「あらおもしろの八景や、まず三井寺の鐘の声、石山寺の秋の月、瀬田唐崎の夕景色、さては花よりおぼろなる、唐崎浜

だから、ついいい気持になっちまって、それから牛込の改代町まで来ると、出逢頭に子供を一人、蹴飛ばしちまったんだね。ところが

をして持って来ました。もう、あなた、へたな熊谷のように戻せの返せのとおっしゃっても駄目です、わたしの心意気で、あなた

、鎌をかけかけ、この道庵から絞り出そうとたくむ敵は本能寺にあることがよくわかった、全く小娘と小袋は油断ができねえ――」

なったのも浅からぬ御縁というものじゃなくって――浅間の温泉では、ずいぶん失礼しちゃいましたわね。でも、どうも、

のはじまりはもう少し前に遡るのね、そもそもあの松本の浅間のお祭礼の晩――あの時こそ、ほんとうに失礼しちゃいましたわ」

――それから竹生島の間も、著しく引寄せられて、長命寺の鼻から、いずれも飛べば一またぎの飛石になっている。

胆吹山へいなされてしまった――さあ、残るところは宇治、勢多の最後の戦線である。だが、この宇治、勢多というやつが

は宇治、勢多の最後の戦線である。だが、この宇治、勢多というやつが、古来、西軍が宇治、勢多を要して勝ったためし

が、この宇治、勢多というやつが、古来、西軍が宇治、勢多を要して勝ったためしが無い。よって、有無の勝負はこの胆吹

の大御所気分を煽ってしまい、近江路は、草津の追分で迎え撃って手詰めの合戦、と手ぐすね引いていると、早くも敵に胆吹山

普通の人ならば文句もあるだろうが、本所の弥勒寺長屋以来、この人をよく知り抜いている米友です。

を振るような振舞はなかったけれども、ずっとその昔、本所の弥勒寺長屋で米友から、厳しい咎めだてを蒙りながら、ついに屈することを為さなかっ

見せつけられました。その一つは、申すまでもなく、本所の相生町の老女の家で行われた幼な馴染との間の生別死別の悲劇

ました。その一つは、申すまでもなく、本所の相生町の老女の家で行われた幼な馴染との間の生別死別の悲劇がそれ

迷乱しているわけではない。その点に於ては寧ろ相生町の時の、天地が目の前ででんぐり返って自分の立つところ、居るところが

お前の方から聞きてえんだ、やむを得ずんば江戸へ引返すかな」

「江戸――江戸へ出て、あのやかましい老爺の篤信斎の髯を見るのは癪

「江戸――江戸へ出て、あのやかましい老爺の篤信斎の髯を見るのは癪だ」

「先生、江戸はどちらでござるな」

「わっしゃあ、江戸は江戸だが、江戸を十里離れて……」

「わっしゃあ、江戸は江戸だが、江戸を十里離れて……」

「え、江戸を十里離れて……」

れました。江戸ッ子ということに重きを置いて、江戸はどこと聞いたら、神田とか、本所深川とか、見栄にも切り出すもの

と期待していると、江戸ッ子は江戸ッ子だが、江戸を十里離れた武州八王子出来の江戸ッ子と聞いて、一座が早くも興ざめ

、武州八王子――あれは小田原北条家の名将の城下、江戸よりも開府が古い、なかなか由緒あるところで、新刀の名人繁慶も、一時

「阿呆いわずときなはれ、江戸で炭が焼けますかい」

「ではやっぱり、江戸でも炭を焼くんだね」

が、そもそも八王子という名前の出所来歴を知るめえな。江戸は江の戸だあな、アイヌ語だという説もあるが、大きな川が

色が黒いのなんのと言うけれど、風来山人なんぞは、江戸を距る海陸百七十九里半、四国の讃州高松というところから出て来た

「今度の検地は、江戸の御老中から差廻しの勘定役の出張ということですから、大がかりなものな

江戸老中派遣のわいろを取る役人が来て、思う存分に間竿を入れる。そのくらい

人柄である上に、お医者の方にかけては、江戸でも鳴らしている大家であるというような信頼もあるし、当然その脱線

、自分も江戸ッ子だと言って啖呵は切るけれど、いったい江戸のどこで生れたんだか、その本姓も、本名も、年齢も、知っ

同じころおい、江戸の築地の異人館のホテルの食堂に、卓を前にして、椅子の上

ない。いったい、陪臣を以て人間とは見ない当時の江戸の旗本、ましてその驕慢そのものに生きていると言ってよろしいほどの神尾主膳

「会津、桑名は……」

、風来山人なんぞは、江戸を距る海陸百七十九里半、四国の讃州高松というところから出て来た四国猿の江戸ッ子なんだ。

、雪は白し比良ヶ岳の一角から、法燈の明るい比叡の山あたりの連脈と見ておけばよろしい、その上の空へ繊々たる新月がかかり

、限り知られぬ広野原の感じです。胆吹、比良、比叡、いずれにある。先に目通りに水平線を上げた琵琶の水も、ほとんど地平線

安直、金茶、なめ六、三ぴん、よた者――草津の姥ヶ餅までのしていたはずなのが引返して、ここは胆吹山麓、

かえって相手の大御所気分を煽ってしまい、近江路は、草津の追分で迎え撃って手詰めの合戦、と手ぐすね引いていると、早くも敵に

は甘いところで磨針峠のあん餅、多賀の糸切餅、草津の姥ヶ餅、これらをばお茶うけとしてよばれ候上は右と左の

して待っていな――近江路はそうさねえ、草津か、大津か――いま道中記を見て、しかるべき宿屋へ当りをつけ

このあたりに住む法界坊というやくざ者にて候、さざなみや志賀の浦曲の、花も、もみじも、月も、雪も、隅々まで心得

増して、手をつなぎ合ってこちらへ当面に向っている。堅田の御堂も、唐崎の松も、はっきりと眼の前に浮び上って来ている

あのお台場の建築を公然とは言わないが、冷嘲の語を以て話し合っている

「西郷吉之助は、薩摩に天下を取らせんがために生きている」

すすめるもんだから、ついいい気持になっちまって、それから牛込の改代町まで来ると、出逢頭に子供を一人、蹴飛ばしちまったんだね。

つずつ積んで、五百駄近くの大した行列が、長崎から越前まで乗込んだものだ」

「おわかりになりましたね、わたくしが六波羅の平清盛の寵愛を受けていた祇王と申す女なのでございます」

、大きな川が海へ注ぐ戸口だと見てさしつかえねえ、大阪は大きな坂だよ、大きな坂だから運賃が安いか高いか、それだけの

行き、儲けも相当にあって、主従は早くも故郷の甲州へ向けて快く帰路についたのですが、その途中、ある山の中で

日の眺めとは一層に峻厳に湧き立っているので、琵琶湖そのものが、さながらアルプス地帯の山中湖を見るように澄み渡り、このそそり立つ四囲

一番ですわ。それには白山行者の真似をして、加賀の白山へ逃げるつもりなのよ、それが一番かしこい仕方だと思ってよ。

「加賀の白山様へはわたくしも、生のあるうちに一度は御参詣をして

、同じ道をとりますまい――白山へ行きましょうよ、加賀の白山へ――白山はいいところですってね、あなたも、いい御縁ですから、

「そうです、この道は、加賀へ抜ける本道ではあるけれど、表通りの信濃、美濃方面へ出る道と違って

「加賀の金沢か、越中の富山あたりへ、小ぢんまりした世帯を持てば、一生遊ん

よ……ですからね、宇津木さん、こうして頂戴、加賀の金沢というところは百万石の御城下でしょう、何はともあれ、二人して

執心という次第でもござらぬが、飛騨の山々や、加賀の白山、白水谷には、これでなかなか隠れたる美人が多いとのこと。伝え聞く

羨望の的とされておりましたが、そのうち、加賀の国から、あの仏御前が出てまいりましてからというものは、わたくしたちの

儲けているが、表向きには発表していない、なにしろ加賀で銭五の先例もあって、小面倒と遠慮をしているのでは

宇治山田の米友は、伊勢の国に在る時に、神宮の前の宇治橋の下で網受けをして生業を

、身分は藤吉郎などとは比べものにならない家柄、今は安土の主織田信長でございます――織田殿を主人に見立てたばっかりに、藤吉郎

その以前、根岸の化物屋敷で、七兵衛所有に属する金箱を、お絹にそそのかされた神尾主膳

形相、それは宮本武蔵が刻んだという肥後の国、岩戸山霊巌洞の不動そっくりの形です。

「武州の高尾山の奥の院で、ある晩に、天狗様がこうしてお銭の勘定をしていまし

の評議をこらすの席とも思われず、さりとて長浜、姉川、その他で見かけた一揆の雲行きに似たところの人民の集合のような

と、駄馬一頭とをめがけて襲い来る暴挙。これは甲州街道の雲助でさえもあえてしなかったところの兇暴です。しかし、事ここに至って

うだりながら――鶏がなくあずまの方へ行ったか、奈良のはたごや三輪の茶屋なんかと洒落のめしているか、わたしゃそんなところまでは

にしか許されなかった実演、でなければそれよりさき、奈良朝時代に華厳宗の大徳良弁僧正の幼少時代に於て現出された―

けれども、服装は全く見慣れない人でした。最初は奈良朝のそれと思って見ましたけれども、冠もちがえば、色彩の

「君は加州金沢の知辺のところへ身を落着ける、拙者は途中、相当の地点まで君を

「加賀の金沢か、越中の富山あたりへ、小ぢんまりした世帯を持てば、一生遊んで

…ですからね、宇津木さん、こうして頂戴、加賀の金沢というところは百万石の御城下でしょう、何はともあれ、二人してあすこ

「加賀の金沢か、越中の富山あたりへ、小ぢんまりした世帯を持てば、一生遊んで暮して行けやし

うろうろしている、仏頂寺の故郷というのが越中の富山在にあって、あちらの方へ行くと言っていたが、今時分、

少々達者でしてね、飛騨の高山であろうと、越中の富山であろうと、ほんの少々の馬力で、御用をつとめますから、その方も

言ったのではなく、京都は美人の本場、長浜も京都に近いところだから、婦人たちも相当に美しいだろうと、こういう淡い想像

のも、べつだん心当りがあって言ったのではなく、京都は美人の本場、長浜も京都に近いところだから、婦人たちも相当に

の出張ということですから、大がかりなものなんです、京都の町奉行からお達しがあって――すべての村々に於て、この際

「京都ですか」

「京都と限ったわけはございません、帝王の都の風流をあなたは、まだ

甲府城下の霧の如法闇夜に演出した一人芝居は、あれは生命がけの剣

には、危険きわまりなき事変が予想される。その昔、甲府城下の闇の夜半の例を以てしても……

から、たまにその気色を見かけたものにしてからが、甲府へでもおいでなさるか、遠くてお江戸――いつもの通りせいぜい六

なんぞは、江戸を距る海陸百七十九里半、四国の讃州高松というところから出て来た四国猿の江戸ッ子なんだ。その四国

三井、阪本、大津、膳所、瀬田の唐橋と石山寺が、盆景の細工のように鮮かに点綴

抜け出して参りました。あの竹生島へ渡りますには、大津から十八里、彦根から六里、この長浜からは三里と承りました

間、一つには三井寺参詣と八景遊覧のために、大津へ先着をして参りました。

の相棒にお角という食えない奴がいる、あいつが大津の方へ向けて先発していた！　それを忘れていたの

、この一まきは、釈放されるや否や、血眼で大津方面へ飛んで返り、お角の根拠をついたが、そのお角は

ていな――近江路はそうさねえ、草津か、大津か――いま道中記を見て、しかるべき宿屋へ当りをつけて置い

もいいからねえ、三日目には帰って頂戴よ、大津あたりに宿をきめて待っているから、手ぶらでもかまわないから、三

。そのくらいだから寛厳の手心が甚しく、彦根、尾張、仙台等の雄藩の領地は避けて竿を入れず、小藩の領地になると

「その灸点は、もと水戸から出たんだ、水戸の光圀公が発明だなんていうが、そのことはどうだか、とにかく、

「その灸点は、もと水戸から出たんだ、水戸の光圀公が発明だなんていうが、そのこと

、いったい何になるのだろうというようなこと、要するに水戸の老公の御機嫌に供えるためさ――といったような調子も出て

、薩州に中村半次郎、肥後の熊本に川上彦斎、土佐の高知に岡田以蔵――ここらあたりは名だたる腕っこきだが、道庵に向っちゃあ

は武蔵の国に近藤勇、薩州に中村半次郎、肥後の熊本に川上彦斎、土佐の高知に岡田以蔵――ここらあたりは名だたる腕っこきだ

「左様、肥後の熊本から来た横井小楠という奴が、頭もあり、はらもある、なかなか

。ところで、こちらはその辺を多少研究している、長崎までも出張して、いろいろと調べてみたが、外国を相手とする

取れ上ると、それを藩の手でとりまとめて宰領し、長崎へ持って行って和蘭商館へ二十五万ドルで何の苦もなく取引を済まし

を二つずつ積んで、五百駄近くの大した行列が、長崎から越前まで乗込んだものだ」

になったのだが、それがまた一仕事でな、長崎奉行に届け出て、お金荷物の先触れを頼み、一駄に千両箱を二つ

置いて、江戸はどこと聞いたら、神田とか、本所深川とか、見栄にも切り出すものと期待していると、江戸ッ子は江戸

「小栗上野は、幕府の主戦組のために生きている」

「小栗上野は……」

「武州八王子の江戸ッ子でがんす」

「八王子の江戸ッ子……」

江戸ッ子は江戸ッ子だが、江戸を十里離れた武州八王子出来の江戸ッ子と聞いて、一座が早くも興ざめ面になったのを

「いかにも、武州八王子――あれは小田原北条家の名将の城下、江戸よりも開府が古い、

「八王子は糸繭がようござる」

「八王子在の炭焼はまた格別な風流でござる」

「でも、八王子在から出て来た炭焼だが、釜出しのいいのを安くするから

通り、新刀の名人繁慶もいたし、東洲斎写楽も八王子ッ子だという説があるし、また君たちにはちょっと買いきれまいが

「君たち、まだ若い、そもそも武州八王子というところは、なめさんも先刻いわれた通り、新刀の名人繁慶

権五郎景政も八王子ッ子だと言えば言えるし、尾崎咢堂も八王子ッ子だと言えば言えるんだが、あいつぁ共和演説だからおらあ虫が

かけては無敵の名人のことはさて置き、鎌倉権五郎景政も八王子ッ子だと言えば言えるし、尾崎咢堂も八王子ッ子だと言えば言えるん

通人は次から次と八王子ッ子の名前を並べて、

いる。大和の国には王寺というところはあるが、八王子が八王寺じゃものにならねえ、蘆花という男が、法華経一冊満足

を書いたんだ、その本の中に、御丁寧に八王子を八王寺、八王寺と書いている。大和の国には王寺

微妙な出所来歴がある。君たちは知るめえが、そもそも八王子という名は法華経から来ているんだぜ。法華経のどこに

が安いか高いか、それだけのことなんだが、八王子と来ると、もっと深遠微妙な出所来歴がある。君たちは知るめえが

「君たち、八王子八王子と安く言うが、そもそも八王子という名前の出所来歴を知るめえな。江戸は江の戸だあな、

「君たち、八王子八王子と安く言うが、そもそも八王子という名前の出所来歴を知るめえな。江戸

「君たち、八王子八王子と安く言うが、そもそも八王子という名前の出所来歴を知るめえな。

いうことに重きを置いて、江戸はどこと聞いたら、神田とか、本所深川とか、見栄にも切り出すものと期待していると

おくんなせえと門附振売りに来たのを、わっしゃ新宿の通りでよく見受けやしたぜ」

し、また君たちにはちょっと買いきれまいが、二代目高尾という吉原きってのおいらんも出たし、それから君たち、いまだに

しかし、また、いくばくもなくして、同じような身を登山表参道へ現わしたところを見ても、この人の四肢五体が全く無事であっ

松柏の間をくぐり来って、春照からの表参道の大路へ通じた時、この物影はそこから爪先上りに登山路につく

が、最初たどって来た方面の道から、春照からの表参道を外れてお中道かと疑われたそれと同じ道を、こちらへ向っ

持っている二人であることはたしかなのですが、この品川砲台を冷笑する見識を持っているというものが、必ずしもこの二人に

、苦心惨憺した国防政策の一つとしての、品川砲台を冷笑するだけの見識を持っている二人であることはたしかなの