大阪 上町 堺 淀川 道頓堀 千日前 福島 東京 日本橋

に丁稚をしてた時から、四十四にもなるまで、大阪に居ますのやもん、生れは大和でも、大阪者と同じことだすよつ

「上町の旦那はん、……八千代はん、えらうおまんな。この夏全で休んではり

で、叔父を終夜運転の電車に乗せて、子供の多い上町の家へ帰してから、お文は道頓堀でまだ起きてゐた蒲鉾屋に

堺の大浜に隠居して、三人の孫を育ててゐるお梶が、三

よつてなア此処は、……此処へ寝ると、昔淀川の三十石に乗つたことを思ひ出すなア。……食んか舟でも来さう

道頓堀の夜景は丁どこれから、といふ時刻で、筋向うの芝居は幕間になつ

を曲げながら、ヨタヨタと店の暖簾を潜つて、賑やかな道頓堀の通りへ出た。

笑はして、源太郎は人通りの疎らになつた千日前を道頓堀へ、先きに立つて歩いた。

、子供の多い上町の家へ帰してから、お文は道頓堀でまだ起きてゐた蒲鉾屋に寄つて、鱧の皮を一円買ひ、

ものを包んだのを掲げた女やに摩れ違ひながら、千日前の方へ曲つた。

文を笑はして、源太郎は人通りの疎らになつた千日前を道頓堀へ、先きに立つて歩いた。

（例）福島磯

「福島磯……といふ人が居ますか。」

「福島磯……此処だす、此処だす。」と忙しいお文は、銀場から

「福島磯……私が名前を変へたのを、何うして知つてるの

毛糸の弁当嚢を提げて、「福島さん学校へ」と友達に誘はれて小学校へ通つてゐた姪の

「其の表書なア、福島磯といふのを知つてるのが不思議でなりまへんのや。」

おこしよつたのには、ちやんと理記と書いて、宛名も福島照久様としてよる。源太郎とはしよらへん。」

も福島福造……は福があり過ぎて悪いよつて、福島理記といふのが、劃の数が良いさかい、理記にせいと言うて

…それで書いて来よつたんや。われの名も福島福造……は福があり過ぎて悪いよつて、福島理記といふのが

がな、お文よりお磯の方がえゝちうて、福島と島やさかい、磯と文句が続いてえゝと、私が福造に言う

私のことを見て貰うた序に聞いてやつたら、福島福造といふ名と四十四といふ年を言うただけで、先生は直きに

あるが、出した人の名はなかつた。消印の「東京中央」といふ字が不明瞭ながらも、兎も角読むことが出来た。

「能う当りましたな。……東京から来ましたのや。……これだす。」

私等の知らん知人もおますよつて、あゝやつて東京へほつたらかしとくと、其処ら中へ無心状を出して、借銭

の二杯酢が何より好物だすよつてな。……東京にあれおまへんてな。」

「私、一寸東京へいてこうかと思ひますのや。……今夜やおまへんで。

日本橋の詰で、叔父を終夜運転の電車に乗せて、子供の多い上町の