歌舞伎町 三十三間堂 江戸 番町 九州 京都 熊本 品川

くる。藪向うの屋敷でする朝からの稽古鼓や、歌舞伎町の遠い太鼓の音や――。江戸の屋根は、女のつつましさへ何

になるなら、自分は退いてもよいから、平田氏を三十三間堂へ立たせてみたいが、実は手前も、明日の晩、頼母子講の

の稽古鼓や、歌舞伎町の遠い太鼓の音や――。江戸の屋根は、女のつつましさへ何か唆るように、ほの紅い昼霞に

この江戸へ来てから知己になった浪人仲間の友達が三、四人打ち連れて来

『そうそう、番町の或る御大身の御隠居でございますが、そこならば、都合に依って

をしており、禄高四百石、日置流の弓では九州でも並ぶ者のない人だが、賛五郎はその兄をも凌ぐ上手だ

なるだろうとの見込だった。そして、約二ヵ月程、京都の竹林院の道場で稽古を励み、そして悠々、静養の上で、四

――だが、さし当って、その仲間へ加入して京都へ上洛るには、どうしても、四、五十両の金は入用

兄上は、細川家で四百石の御師範、もし、京都の通し矢の事が聞えれば、御勘気も免れ、五十両や百両の

あなたのお気持を知れば、死を賭しても、きっと京都の通し矢で、一の額を上げずにはおきませぬ。彼の人

『でも……折角、あなた様にも、京都へ上洛るおつもりで落札したお金でございましょうに』

仲間もきょう品川の八ツ山下に落ち合って、そこから打連れて京都へ立つ約束になっている。

である。賛五郎の実兄の平田文吾は、現在でも熊本の国許で細川家の弓道師範をしており、禄高四百石、日置流

（大牟田公平だ。――薄あばたがあって熊本訛りのある同じ年頃の侍といえば、あの公平に相違ない！）

旅仕度を身に着けていた。他の仲間もきょう品川の八ツ山下に落ち合って、そこから打連れて京都へ立つ約束になっている

はなかった。然し、足を迅めて行くうちに、品川宿と大井の間で、一行十名ほどの仲間のすがたを、並木