魚紋 / 吉川英治

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地名一覧

本所

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は、みな「様」をつけて呼んでいた。この本所の裏町では、彼女の高貴めいた身装だの端麗な目鼻立ちが、掃溜の

日光山

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様だったなどという事もみんな嘘で、ほんとは、日光山の中院の僧の隠し子で、土地の宿屋の娘という事になってい

辰巳

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『如何でしょう、こんな日には、少し気散じに、辰巳へでも行って陽気に騒いでは』

大阪

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の返辞次第では、今の高橋の門戸をたたんで、大阪へ出て、家を持とうというのだった。そして、近いうちに大金が

江戸

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、腹を切った男をすてて、自分ひとりで越後から江戸まで逃げのびて来たという履歴を持っていた。

手に入れたら、夫婦になってあげてもいいね。江戸を売って、京都あたりでちんまりと暮してみたい。もう、こんな碁会所なんて懲々

だけれど、町画師の春作というしがない男が、昔、江戸の裏町の隅ッこで、凝と、お前さんを想いつづけていたという

両国

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『両国鮓かい、白魚の鮓なざ、ちょっとおつだな』

京都

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夫婦になってあげてもいいね。江戸を売って、京都あたりでちんまりと暮してみたい。もう、こんな碁会所なんて懲々だから――

長崎

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型の女で、家を飛び出してからは上方は勿論、長崎から諸国を流れあるいて、行く先々で、豪華な悪の生活をしてい

深川

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どこへ引っ張ってゆくかと思うと、深川の櫓下妓まで呼んで、この男にしては、解しかねる散財だった

永代橋

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『永代橋の西河岸で、橋の袂から川下流のほうへ、足数にし

独りで漕いで来た貸船を、永代橋から少し下流の所を約二十間ほどの間、あっち此っ方漕ぎ廻っ

そして、何食わぬ顔して、永代橋の下を漕ぎ戻ってくると、

医者の玄庵が、頻りと、この辺を徘徊した。永代橋の上から考えこんで見ている姿も何度も見た。まだ陸にも

旅すがたをした男女が、永代橋の上に立った。

――だが、その時、永代橋を踏み鳴らして、ここへ一瞬に駈けつけて来た町方と捕手は、逃げかける