田崎草雲とその子 / 吉川英治
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幕末日本の象徴のように、浅間山は、噴煙を吐いていた。
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奉行もあった。これは、だいぶ実入になったが、八丁堀に顔を覚えられて、向うが、相手にしなくなった。
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吟香は、彼の宿望だった仏蘭西へ洋行するために、横浜から船客になったが、船の徒然に、ふと、書物をひらくと、その
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金井烏州であり、六法の初歩を授けた者は、川崎の隠士加藤梅翁だった。
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に移り、旗本並、目見得格に取立てられて、屋敷を入谷に、地を今戸に受けた。そこで、柳営をはじめ三家御三卿
しまった。いや、空々に、乾かしてしまったのだ。入谷の屋敷さえ売り払って、堀に移っているという始末。
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語りながら、一夕会したいというのである。場所は、根岸の笹の雪としてある。
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でげす。学問は和漢にわたって、一通りでげすが、辰巳、吉原の方も詳しい。おきまりの押籠から勘当、とど、面倒くせいや
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で、土器師をしていたが、見出されて、江戸に移り、旗本並、目見得格に取立てられて、屋敷を入谷に、地を
二十歳の時、草雲は脱藩して江戸へ走った。画心壮心二つながら、燃えて、じっと、小藩の禄を、
江戸へ出ては、文晁に鞭撻され、崋山に刺戟され、春木南湖の
うごかない状態にあることだった。そして、家中の大多数は江戸にあって、国許の家中は、半数にも足らないのだ。
家老のやしきへ行き、川上に、詰腹を切らせて、江戸へ行くらしいという噂をきいて、草雲は飛んで行った。
ひとまず、抑えておいて、彼は江戸へ急いだ。佐幕にかたまっている江戸詰の藩邸へゆくのは、自身を
麓に落会っていた。足利藩の田崎草雲は、江戸から加わって、盟友たちに、藩論の一致の吉報を、その軍議の密会に
一方、江戸は、上野に火があがった。
江戸にいた頃、草雲に、近づいていた松蔵は、彼の気持を読ん
『おお、江戸の飛脚――』
今、よそでも聞いたが、先生の御子息は、江戸で、自殺されたというじゃないか。それは、まったくか』
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から寛大な沙汰があって、数年前に名目だけは足利藩へ復帰していたのである。
名の士が、そこの麓に落会っていた。足利藩の田崎草雲は、江戸から加わって、盟友たちに、藩論の一致の吉報を
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彼は、母の菊女の菩提寺へ逃げた。今戸の称福寺である。暗い蜘蛛の巣の中に、息をころして、七
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、類型が沢山うごめいていたに違いない。幕府は、京都と外国の交渉に腐ってくるし、浪士は、蛆みたいにふえるし、
とこうする間に、年が改った。慶応元年だ。京都を中心とする政変や兵変や、あらゆる険しい風雲は、足利の勤王の少壮
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代りだから堪らない。むろん遊びに誘う、千住、吉原、品川、足をふまない所はないが、お菊は、嫌な顔を見せ
その金の費いかたなども、振ってる。年中品川へ網打ちにばかり出て、金を撒き餌に、雑魚をすくって、欣し
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。入りかわり、立ち代りだから堪らない。むろん遊びに誘う、千住、吉原、品川、足をふまない所はないが、お菊は、嫌
と、帰りは、千住か吉原の予定をもって、釣竿をかつぎ出す。
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なにかと思うと、神田の和泉橋に、辻斬が出る。辻斬はめずらしくないが、ひどく達者ものらしい
雑魚をすくって、欣しがっているかと思うと、神田祭に、巨額な奉納金をして、花車の上で馬鹿踊りをやっ
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な君侯と、貧乏な父と、貧乏な自分とを、小川町の藩邸の長屋で生れた時から、持っていた人だと云える。
た草雲は、ひどい腕白者だった。田崎の腕白は、小川町の藩邸に鼻抓みにされた。組長屋の空地で腕白は、よく
『いえ、小川町の御藩邸からで』
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から三期へのあいだに、草雲は一家を移して、浅草の伝法院地内、火之見横町の長屋に住みかえていた、―
五年、いわゆる、彼の生涯の一期劃をなす「浅草草雲時代」の惨心いたましき行道に、はいっていたのである。
同時に、彼は、朝か夕かを、浅草の観音へいって礼拝することを日課にしていた。秋に近く
より、一足あとから、すぐに旅装を締め直した。そして浅草見附の橋袂までくると、彼方から、まだうら若い女が、生後幾月も経た
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館林の秋元藩の木呂子退造、塩谷良幹、相場朋厚その他を加え
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一方、江戸は、上野に火があがった。
海に、惨鼻な血が、五月雨ほど流された。上野は、黒焦げになり、彰義隊は、無残な壊滅に終った。
泥と、官軍の撃つ弾とを浴びて、みじめに、上野から崩れ落ちてゆく、敗兵の中に、若い彼が見出された。