日本名婦伝 谷干城夫人 / 吉川英治
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防備にのみ専念されておられるが、なぜ、進んで三太郎峠の嶮を擁し、積極的に敵を撃破するの策に出なかったか」
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五十年めの大雪だという雪かぜと共に、薩摩と肥後の国境を越えて。
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いる間に、すでに、官軍の征討総督軍は、東京・大阪・諸師団の優秀な装備をもって、疾くに南下の途についていた
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、病棟の人々へも少しずつ頷けるため、婦人部隊がまた萩の餅をこしらえたが、玖満子夫人は、その幾つかの残りを持って
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て、それから約二時間も経ってからただ一人で再び熊本城の丘を登って行った。
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決死の誓の下に、上京の目的を抱いて、すでに鹿児島を立っていたのである。
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が、この熊本には、官の鎮台がある。彼等の通過をゆるすべきか拒むべき
「薩南の健児に血があるというなら、熊本の男児にも鉄石の心胆がある。憂国の赤心は、彼のみのもの
――こうした中に、熊本の町は、十八日の黄昏れを落した。人影はおろか、いつもの
のが事実のようであります。――そして薩軍がこの熊本の市中へ侵入して来る日は、多分、二十日の午前中になる
には、安心できる人間なので、去年将軍が台湾から熊本へ赴任して来た時から鎮台の方で雇うことに改めてやった者
ていたお掃除などして参りました。いずれ賊軍が熊本の町へはいると、官舎なども家捜しするに違いございませんから、お
と、薩軍の前進は、刻々と報告され、一挙、熊本を席捲して、北上しようとする颱風のような全軍の相貌と殺気は
この大木の金葉が燦々と城下町から遠望されるので、熊本の城を称んで一名「いちょう城」とも唱えられたほど由緒ある
の太さ五ツ抱えもある本丸前の大銀杏で、名城熊本の象徴として聳え立ち、秋となればこの大木の金葉が燦々と城下町
鶴子は、幸いにも安産であった。今朝、味方の熊本軍、敵の薩軍、相互の砲弾がいちどに鳴りとどろく中に産気づい
「熊本を抜けば、天下の大事はわれにうごく、屍、屍、また屍を
それとも、熊本附近まではすでに上陸していても、薩軍に遮断されて、ここ
方を見ているのではなかった。遙か、遙か、熊本の街の西南――昼霞と空のぼかされた果てを、いつまで
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はすでに遅い。――しかも征討総督の海陸軍は、まだ遠い神戸の埠頭にあって、その到着を遽かに待つことはできない」
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長びいている間に、すでに、官軍の征討総督軍は、東京・大阪・諸師団の優秀な装備をもって、疾くに南下の途に