脚 / 吉川英治
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「佐久間ばらい」
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「犬も飯を食うだろうに、江戸って所は、何処を曲がっても、野良犬が多いなあ。これだけの犬の
へい、出てめえりました。伯ッ様のお手紙にゃ、江戸へのぼる事アなんねえという御異見でしたが」
、馬鹿さ加減にも、程があら。そんな世間か、江戸はな、浪人や無職者で、押し合ってるんだ。お上でも、持て余して、
「――いいか、そういう江戸だぞ。それでも、夜は、八刻といや、戸を卸し、御用
勘定でもしてりゃいい身分。それを打ッちゃって、江戸へ来る。――けッ、馬鹿も底の知れねえ牛蒡野郎だ」
田舎の食えないと、江戸の食えないとは、根本的に違ったものであることに、彦太は驚い
「どうして、これで江戸が不景気か」
田地と百姓の影が映っていた。そして松代藩の江戸の藩邸にも、留守居役はいる筈だと思った。
が、旗本隠居の金十郎を中心にしてるこの社中は、江戸の破歌を革命して、歌沢という低徊趣味な小唄を興そうとして
江戸の花嫁
雪の江戸が、朝の一瞬によごされて、騒いだ。
大和や上方は、戦だという、つきつめた噂が、江戸を暗く蔽った。
口癖にいうその言葉を、地震に狎れた感能とひとしく、江戸の半面は、享楽してるようにも見える。
の生きる所は、娘付きの御家人の屋敷でもなし、江戸でもなし、他にあるぞ」
毎日、往来の脚を見ていた彦太も、江戸が、ここまで墜ちて来ているとは、考え及ばなかった。
、生野の銀山に旗挙げしたとある! うっかりしたら江戸へも飛び火じゃぞっ! 詳しいことは読んでお知り――さあっ、瓦版
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しぶいところを、競い合って、仲の町や、柳橋や、辰巳へもうひろまっていることを、得意にしていた。
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お留守役は、お留守居役中での渋い喉だそうで、平清や両国あたりでは、専ら評判でござんすが。ねえ、小秀ちゃん」
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たが、どう多端なのか、尊王攘夷ということばや、京都江戸あたりの騒がしいくらいな事は、耳にもしてるが、百姓たちに
「む、ずっと京都にいたが、今度、佐久間先生のお供を兼て、松代藩へ用事が
たり、浪人徴募ってんで、ごろ浪人へ飯をくれて京都へ向けたり――」
時事を諷した落首が貼られたり、瓦版の呼売りが、京都の志士の暗躍や、市井の押込み沙汰などを、触れ廻った。
、京都の梅田雲浜、頼三樹三郎、橋本左内、その他、京都の志士が、首を並べて、斬られるそうだ」
「小塚ッ原で、京都の梅田雲浜、頼三樹三郎、橋本左内、その他、京都の志士が、首
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「井伊掃部頭が――御大老が、桜田で、水戸の浪人たちに、やられたってえぞっ」
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浜町様、仕出し、椀だね十七人
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派手ッぱりな伯父夫婦は、その一夜のために、神田祭りみたいな金づかいをした。割下水の笹本隠居を初め、社中の祝い物
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、この真田伊賀守の領土では、繭糸一揆だの、千曲川の運上騒動だの、また、領主がお庭焼の陶器に凝って、
の家筋だった。だから、騒いだ後は、いつも、千曲川が赤くなるほど、首謀者の首が、並べて斬られ、結局、百姓
聞えている。一頃は、目付役兼検見方として、千曲川を改修し、山には檜を植林し、低地には、林檎苗を
科学器械などを、金もないのに買いこんで、毎日、千曲川では、調練兵が、どかん、どかん、ぶっ放していた。
「俺の体を、役立てる仕事は、千曲川のお刑置場へ坐るほかに、慥に、もっとしていい事があっ