皇居 鎌倉 江戸 東大寺 赤坂 奥多摩 千葉 京都 東京 銀座 日比谷 隅田川

も蝋燭でいた所があるんだ。皇居ですよ。皇居といっても、宮内省にはいの一番に電燈も布設されていたが

末路をとげたか、分っていそうなものである。鎌倉の名所の一ツとなった大塔ノ宮の土牢は嘘だが殺された

のない男共である。いったい男共の性観念は、鎌倉の剛健といわれた時代でさえ、こんな程度の薄弱であったから、ついに

の鶉師が付きッきりで早打ち駕を打たせ、昨晩、江戸へ到着いたしたばかりなので。はい、夜明けも待ちかねて、ご献上に

写経生は当時の下級官吏である。官の各省から東大寺へ派遣された者たちだ。尨大な外来経典の写字、校正、装幀、

からだった。さしずめ私も蜂にいろんな名をつけて、赤坂の家の窓から『……何丸、岸を刺して来い』とやるだろう

千葉さんも戦時中、私とおなじ奥多摩の福生に一時疎開され、そこでついに亡くなられたが、戦前から私も

私はへきえきした。或る日などは、あの奥多摩の山村の雪の降る日にも来て聖デウス右近の清童ぶりを説く

（例）千葉胤明

なる青山御所の正門寄りの鮫ヶ橋に、以前、お歌所の千葉胤明翁が住んでおられた。

千葉さんも戦時中、私とおなじ奥多摩の福生に一時疎開され、そこで

千葉さんは典型的な宮中の、つまり寄人らしい風骨の歌人であった。明治から

ある朝、千葉さんが私へ言った。『吉川君、東京じゅうで、電燈がいちばん遅く

これが千葉さんの前おきである。そして、話の骨子は、相手の私から『

私は千葉胤明翁から聞いたこの番茶ばなしを、いつも夜の三宅坂あたりでは、

天皇のご起居なすっていた一郭だけが、いつまでも京都御所以来のままな古風な百目蝋燭でお過しでしたよ』

てる？』『さあ。いずれ場末でしょうか』『いや、もう東京全市にランプなど見られなくなっていたのに、まだ何年も蝋燭

ある朝、千葉さんが私へ言った。『吉川君、東京じゅうで、電燈がいちばん遅く灯いた所は、どこだか知ってる？』

。吹上からごらんになってもお分りでございましょうが、東京全市すべて夜々あのとおりな電燈の灯の海です。ここのお座所もひと

といってしまえばそれまでだが、考えてみると、東京ッてじつに不思議な風景を両極に持って、しかもそれの調和で保って

春行くや、の駄句にもならない風景だったが、東京都知事以下、全国の選挙ビラも、やっと方々で掃かれている。

つい思い出すのだった。あの辺から見る日比谷、数寄屋橋、銀座へかけての近年の夜景などは、いかにそんな話などは早や古くさいか

坂あたりでは、つい思い出すのだった。あの辺から見る日比谷、数寄屋橋、銀座へかけての近年の夜景などは、いかにそんな話など

と忽ちそれの好評がまた拡まって、やれ花見に、やれ隅田川の船遊びにと、ほかの権勢家への贈答にも利用され、指物師