箱根 北海道 乃木坂 パリ 大阪 四谷 成田山 ローマ 乃木神社 芝公園 日比谷公園 東京

へお礼詣りに行くと称して、芸者を三人つれて箱根へおっ走った。その折、宿屋の帳場に坐っていた若旦那が僕の

北海道の熊

「北海道には熊がいる」

「北海道の鮭だ」

だ。この上ともやって貰わなければならない。しかし北海道の鮭じゃ駄目だよ。いや、熊じゃ駄目だよ」

僕達は学校の帰りを乃木坂まで電車に乗って、それから虎の門まで歩くのが習慣になった。成程、

だ。夕方になると、後を店員達に委せて、乃木坂へおっ走る。しかしいつの間にか僕の勉強振りに気がついたと

「いや、君が余りパリ／＼やると、僕は迷惑する。お隣りの日出男さんを御覧と来る」

ことを詳しく話してくれた。同郷の後輩だそうだ。大阪で会社を失策って就職運動のために上京、先頃から加藤さんのところに居候

「四谷だ」

「成田山へ往って来ていただけません？　御祈祷をお願いに」

、決心が鈍っていた。事実、いきなり全甲はむずかしい。ローマは一日では築き上げられない。中学校から新規蒔き直し、小学時代はそのまゝという

「乃木神社へ廻ろう。あすこから虎の門まで歩くと丁度好い散歩になる」

雪の降る日にも欠かさなかった。菊太郎君は必ずしも乃木神社に参拝するのではない。

。全く偶然の一致だよ。尤もその次の瞬間に、乃木神社へ参拝すれば序に探険が出来ると思ったことは匿さない」

「凄いんだね。しかし当分は乃木神社へ日参だから」

、芝公園が頭に浮ぶ。然うだ。学校の帰りを芝公園までブラ／＼歩いたのだった。菊太郎君が電車に乗ろうと言って

相談を持ち込んだ。十何年も前のことだけれど、芝公園が頭に浮ぶ。然うだ。学校の帰りを芝公園までブラ／＼歩い

「然うさな。虎の門で下りて日比谷公園をぶらつこう」

虎の門から日比谷公園が一月ばかり続いたように覚えている。それから菊太郎君が又発起

いうことが分ったから、菊太郎君は僕を毎日虎の門から日比谷公園へ引き廻したのだった。

「日比谷公園は真の附け足しさ。しかし唯虎の門と言ったんじゃ幾ら君でも

、菊太郎君は予言通りチブスと定って、卒業式の日に東京病院へ入院した。僕は菊太郎君の免状を貰って来て、お母さん

「あの方、東京病院の看護婦さんでございましょう？」

仕方がない。しかし手堅くやっている。医者が専門らしい。東京中の医者へ相場表を送って、得意を開拓する。金のあるの