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富士山が見える媾曳

『江の島へ二人っきりで出かけるの厭？　富士山や海が見える媾曳――だって。まあ！　あきれた。何て図う

わざと小田急には乗らずに、東京駅から鎌倉へ行って、鎌倉から幌を取らせた自動車で稲村ヶ崎を抜けて、海辺づたい

わざと小田急には乗らずに、東京駅から鎌倉へ行って、鎌倉から幌を取らせた自動車で稲村ヶ崎を抜けて、海辺づたいに真直ぐに、江の島

江の島に着いているとすれば、まず人目の少い片瀬から七里ヶ浜の砂浜辺りで、肩すり寄せて語らい合っているかも知れないと思われた

けれども、七里ヶ浜の銀色に光る砂にかざす色あだめいたパラソルは幾つとなく点在し、そして

『江の島へ連れてってよ。いや？』

『誰がダンスホールの話をしたい？　江の島へ行き度ければ一人で行っておいで！』

それだのに、その言下に軽蔑し去った江の島へ、密女と共に遊びに出かけると云うのなら、いくら春のバンジョーの

ている雄吉君を従えて、長い長い桟橋を渡って、江の島の音に聞えた険路を急ぎ足で一巡し、岩屋の奥迄尋ね尽したが

『江の島の春はよかったかい？』

、随分面白かったわ。あたし、学校を出たばかりで恰度神戸へ遊びに行っていたんだけど、海岸通りの石道を昼間一人で

巴里の時花歌を、泪の塩の辛い口笛で吹きながら、エミ子は姿見

、今日は大祝賀会が開かれ、僕は、その上、巴里のシュバリエ商会から五千円の権利金を貰うことになったんだよ。…

また従兄位に当る音楽学校を退学されて、今は銀座の蓄音器屋の嘱託しているピアニストの雄吉君のところへ電話をかけまし

と、もう日が暮れていました。高架線の上から銀座の灯を眺めた時、エミ子さんはほんの少し元気になりました。

そこで、東京駅から銀座裏へ引っ返して温い西洋料理の食卓につきました。雄吉君は、食後

困ったなあ。実は一週間ばかり前に、文太郎さんと銀座で会って、一緒に富士屋でお茶を飲んでいたら、恰度其処

東京へ帰ると、もう日が暮れていました。高架線の上から銀座の

から鎌倉へ行って、鎌倉から幌を取らせた自動車で稲村ヶ崎を抜けて、海辺づたいに真直ぐに、江の島へ向いました。