嘘 / 渡辺温
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銀座
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唸りながら舖道の紙屑やごみを浚って吹いた。遉の銀座通りではあったが、行き交う人々はみんな身を竦めながら忙しそうにし
、低く垂れ下がったまま白っちゃけて凍りついていた。井深君は銀座を散歩していたのである。北風が唸りながら舖道の紙屑やごみ
の用事もなく、何の的もなく、新橋の方から銀座通の左側の舗道をぶらぶら歩いて行った。そして尾張町の四辻より一つ
となく、いや恐らく幾百度となく同じような身形で銀座を歩いた。併しついぞ一度だって通り掛りの者なぞからそんな風にして
この付近にいい家がある? それとももう一ぺん銀座迄戻りましょうか。」
可愛らしかった。だがさて着ているオレンジ色のジャケツは、銀座通りでひょっと見た時には随分花やかで立派だったのに、よく見る
。或る日、日が暮れたばかりでね、私はやっぱり銀座通りを散歩していた……」と井深君は両手の指
、変な事を云うようだが、その子だってどうせ銀座辺にそうしていたのだから、やっぱり君たちの知合かも知れ
。女の子はやっぱり泣いていた。そして、姉さんと一緒に銀座迄買物に来たのだが、はぐれてしまって、電車賃もないし、
新橋
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で、とにかく何の用事もなく、何の的もなく、新橋の方から銀座通の左側の舗道をぶらぶら歩いて行った。そして尾張町の
「何時ものように、一っぺん新橋の橋の袂迄行き尽して、また引き返そうとした時だった。私