シベリア 上野 東京 品川

失せてしまいました。私の恋としたことがたとえばシベリアの大森林の中へ落下してそのまま落葉の底深く永遠に埋もれてしまった

上野の博覧会で軽気球が上げられた。軽気球はまるで古風な銅版画の景色の

新奇な乗物とともに、やはり軽気球がお客を満載して上野の杜の天辺に浮かんでいた。（風船なんて危いものはもっての外だ―

が、考えて見れば、彼女の姿の見えたところが上野の方向に当っていたことだけは確なのだから、これは博覧会

っぱいかかっている物干しや、いろんなものが見えました。上野の山の青空に風船が浮かんで、その下に散りかけた桜の花

焦点を更えては、何時迄も、何時迄も、大東京の市街の表に刻まれた一つ一つの物蔭を丹念に漁るつもり

双眼鏡をもって、私はＭ百貨店の屋上から初覗きに東京中の景色を眺めまわしてみました。晴れた日の午さがりで、大きな

晴れた日の午さがりで、大きな貨物船の沢山浮かんだ碧い品川の海や、数え切れない程の煙突や、とたん屋根や、洗濯物が一っぱいかかっ