槍ヶ岳第三回登山 / 小島烏水
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槍ヶ岳第三回登山
この傾斜を上り切って、ひょいと顔を出すと、槍ヶ岳の大身の槍尖が、すいと穂を立てている、そうして白い雪
ない、鍋が一枚蔵してあった、冠君は既に槍ヶ岳登りを終られて、雪を辷り落ちるようにして、下りて来られた、
槍ヶ岳から下った山稜伝いの、横尾根の外から、穂高山が手に取るよう
殺生小舎から槍ヶ岳までは、猟師仲間で八丁と言ったものだそうだが、今じゃそうは
そうして傍で見ると、存外に鈍い輪廓をした槍ヶ岳の円柱が、幾本となく縦に組み合わされた、というよりも大磐石に
やっと槍ヶ岳の頂、といっても槍の穂先からは、まだ蛭巻ぐらいの位置に当る
ように汎濫している、そうしてこれが巨大なる槍ヶ岳を、目の上に高く聳えしむるために、払われた犠牲であるかと
の尖りを一々登って、ようやく槍の絶頂に突っ立った、槍ヶ岳より穂高へ続く壮大なる岩壁は、石の翼の羽ばたきの、最も強いもので
澄み返って湛えているのを見るようだ、その中で我が槍ヶ岳という心臓が、日本アルプスという堅硬な肉体に、脈を搏っている
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に突っ立って、四方を見廻わした、未だ午前である、硫黄岳の硫烟は、曇り日に映って、東の方へと折れて、連山の
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たり、泥土が流れていたりして、いかにもうす汚ない、白馬岳の雪の美しいことは、こんなものでは無いと、高頭君がしきりに説明
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右の方を仰ぐと、赤沢岳が無器用な円頂閣のように、幅びろく突ッ立って、その花崗岩の
のような山が二つ、小隆起をしている、赤沢岳頂上の三角点も、大空を指さしている、谷は次第に高くなる、高く
つけた小隆起を屏風にして、小休みをする、赤沢岳は三十度以上の傾斜をして、岩石の赤い筋と雪の白い斑と
ここから見ると、赤沢岳の鞍状の凹みの間から、常念岳が出たが、頂上は雲で
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顧れば峡間から東方の霞沢岳連峰の木山には、どす玄い雨雲が、甘藍の大葉を巻いたように
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と※っては投げ出すように、風に吹き飛ばされている、乗鞍岳が濃い藍※色に染まって、沈まり返って、半腹には銀縁眼鏡
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を見るようだ、その中で我が槍ヶ岳という心臓が、日本アルプスという堅硬な肉体に、脈を搏っているのだ。