箱根 加賀 東大寺 伊豆 金峰山 剣ヶ峰 房総 関西 甲府 奈良

、水を打つたるより静かなり、東に伊豆の大島、箱根の外輪山、仙窟に醸されたる冷氷の如き蘆の湖、氷上を跣べり

にあらざるなり、おもひみる天風北溟の荒濤を蹴り、加賀の白山を拍ちて旋へらず、雪の蹄の黒駒や、乗鞍ヶ嶽駒ヶ嶽

、それも大方は短木、この辺より不二は奈良の東大寺山門より大仏を仰ぐより近く聳え、半より以上、黄袗は古びて赭く、

わたりたる宇宙は、水を打つたるより静かなり、東に伊豆の大島、箱根の外輪山、仙窟に醸されたる冷氷の如き蘆の湖、氷上を

に鋭峻の尖りを起てたるは、是れ言ふまでもなく金峰山、駒ヶ嶽、八ヶ嶽等の大嶽にして、高度いづれも一万尺に

が大なるかを解する能はざるが如し。この夏我金峰山に登り、八ヶ嶽に登り、駒ヶ嶽に登る、瑠璃色なる不二の翅脈なだらかに

、火孔に吹き飛ばされぬ用心して、這ふが如く剣ヶ峰に到り、その一角にしがみ附きて観る。

に活きて游ぶにあらざるかを疑ふ、三浦半島と房総と、長虫の如く蜿ねりて出没す、武甲の山は純紫にして

、杖つきて下山するに追ひつく、郷貫を質せば関西の人なりといふ、年歯を問へば、即ち対へて曰く、当年八十四歳

眼下に飜展せられたる凸版地図の如き平原の中白面の甲府を匝ぐりて、毛ばだちたる皺の波を畳み、その波頭に鋭峻の

栗多く、それも大方は短木、この辺より不二は奈良の東大寺山門より大仏を仰ぐより近く聳え、半より以上、黄袗は古び