雪代山女魚 / 佐藤垢石
地名一覧
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個の小判型の斑点があるのに違いはないが、箱根から西の山女魚には小判型の間に朱色の小さな斑点が不規則に散在
違うのは、まことに面白い現象であると思う。また、箱根の二子山に源を持ち湯本に落ちて早川に合し、相模湾へ注ぐ須雲川の山女
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と鱒の姿の大きなものが棲んでいる。地蔵川、熊川、応桑用水、濁り川、赤川などの山女魚は、山にまだ早春の
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奥秩父の三峰川と、中津川にも近年まで渓流魚は数多かったが、近頃は職業漁師と都会人のため
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は陸封された川や湖沼に生活しているが、樺太へ行くと川にも棲み、海へ遊びに行く。
ある。これはオショロコマと言うのが学名だそうである。樺太、カムチャツカ、アラスカ方面の海に棲むもので、形は大きく、明らかに肌に
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アメノウオ、またはアマゴなどと呼び、中国地方ではヒラメ、九州ではエノハと名づけている。台湾の大甲渓に棲んでいるサマラオコスも、
京都付近の諸渓流にも、また九州にも釣り場は沢山ある。神国日向の美々津川の上流へは、まだ山女魚
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と群馬県の桐生地方ではヤモと呼び、福島県、宮城県、北海道などではヤマベと称している。また、ヤモメと言っているところもある。
学者の説によると、日本内地にいる岩魚と、北海道に棲んでいるのとは違うらしい。内地のもののように赤い斑点がない
称している。このアメマスはエゾイワナと言うのが本名で、北海道では陸封された川や湖沼に生活しているが、樺太へ行くと
、明らかに肌に赤い斑点がある。なお、この外に北海道の一地方に、陸封された特殊の変種が発見されているとも
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から東海道にかけてはイワナと読んでいるが、和歌山県と奈良県ではキリクチと言い、中国地方ではゴギまたはコギと名づけ、滋賀県では
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の行きかいに、うたた山旅の情を惹くものがある。利根川、白砂沢、また、花咲峠から渓水を運んでくる塗川にも渓流魚
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かも知れない。清水トンネルの下を流れる湯桧曾川、谷川岳から出る谷川、万太郎川から越後へ走る魚野川。何れも岩魚の姿が濃い
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甲州へ入ると、山女魚と岩魚が多い。甲武信ヶ岳の密林から出てくる笛吹川、甲斐駒の肩に源を持つ釜無川、金峰山
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北陸から東北、関東地方から東海道にかけてはイワナと読んでいるが、和歌山県と奈良県ではキリクチと
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てくる笛吹川、甲斐駒の肩に源を持つ釜無川、金峰山の本谷川、御岳昇仙峡の荒川など、何れも釣り人憧憬の渓である。ところ
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を抜け出して、戦場ヶ原を幾曲がり、龍頭の滝を落ちて中禅寺湖へ注いでいるが、ここは渓流魚釣りの練習場として、まことに好適の
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信州の梓川は、岩魚の釣り場としてあまりにも有名である。それだけに四、
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ではヒラメ、九州ではエノハと名づけている。台湾の大甲渓に棲んでいるサマラオコスも、山女魚であると言う。
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尾瀬ヶ原へは、春の訪れが遅い。尾瀬沼と尾瀬ヶ原を結ぶ沼尻川、燧岳の西を流れる只見川の岩魚は、この頃
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から吹いてくる北の風に棚引いて、浅間の噴煙が武蔵国の方へ流れ行く雄大な展望に接し得るのは、山の釣り人が持つ特権
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北端、秀峰榛名の麓から西南の遠い空を望むと、甲州の八ヶ岳が雲表に突き出ている。里の村々では、まだ夏が去った
甲州へ入ると、山女魚と岩魚が多い。甲武信ヶ岳の密林から出てくる笛吹川
の荒川など、何れも釣り人憧憬の渓である。ところが甲州と信州の人々は、渓に毒を流して魚をとる悪い癖を持って
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秀峰榛名の麓から西南の遠い空を望むと、甲州の八ヶ岳が雲表に突き出ている。里の村々では、まだ夏が去ったばかりで
は、まだ夏が去ったばかりであるという頃に、八ヶ岳の頂には白い雪が降る。その初雪が解けて流れてくるのであろう
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魚の数は減った。奥飛騨の高原川の上流は笠ヶ岳近くで蒲田川となる。この雪を孕んだ渓谷には、まだ人の姿
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東京に近い川で山女魚の棲んでいるのは、奥多摩の本流とその支流日原川と、秋川とである。だが、東京に近い
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上越国境は、渓流魚の巣であるかも知れない。清水トンネルの下を流れる湯
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関東地方から東海道にかけてはイワナと読んでいるが、和歌山県と奈良県ではキリクチと言い、中国地方ではゴギまたはコギと名づけ、滋賀県
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の小さな斑点が不規則に散在しているのに対して、関東のものにはそれがない。これを関西系の山女魚、関東系の山女
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神通川の上流は、裏飛騨へ入って宮川という。高山から飛越国境の蟹寺まで
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笹子の連山を分水嶺として、西側甲府方面へ向かって流れ出し笛吹川へ注ぐ渓流は日川、東側へ流れ出で、桂川へ
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京都付近の諸渓流にも、また九州にも釣り場は沢山ある。神国日向の
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間か二間半のやわらかくて、そして軽い竿。道糸は秋田の渋糸の十五撚りか二十撚りを竿の長さだけつけるのである
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三月の声を聞くともう、魚籠を腰にして東京に近い渓谷へ我れも我れもと分け入り、重たいほど釣り溜めて帰ってくる
地方によって呼び名も違う。東京では正しくヤマメと言っているけれど、栃木県と群馬県の桐生地方ではヤモ
とその支流日原川と、秋川とである。だが、東京に近いだけに交通の便がよく、約二、三年漁期に入ると
東京に近い川で山女魚の棲んでいるのは、奥多摩の本流とその支流
得られなかったのは残念である。庖刀を執っては東京第一流の料理人と称されるものが、この通りであるとすれば、市井
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、都会人が釣り旅に入るは甚だまれである。中野村、上野村と行けば渓流魚の桃源郷だ。流れの落ち込みに、自然のままに