伊勢 大台ヶ原山 熊野 岩代国 上越国境 新宮市 天城山 熊野灘 浅間山 丹波 神戸 前橋 館林 東京 銀座

伊勢へななたび熊野へさんど、と言ふ文句があるが、私は今年の

下つたのである。矢の川峠は、紀伊と伊勢と大和の三国の境をなす大台ヶ原山を主峰とした台高山脈が

峠は、紀伊と伊勢と大和の三国の境をなす大台ヶ原山を主峰とした台高山脈が南に走つて高峰山となり、その裾

伊勢へななたび熊野へさんど、と言ふ文句があるが、私は今年の夏六月と

はない。正真正銘の狸である。実は、自分の郷里岩代国の寒村では、近年狸の人工飼養が大分流行してゐる。県農会など

へ持ち込んで外国へ輸出してゐる。しかし、奥利根の上越国境の山から出てくる猟人が毎年、最も数多い狸の皮を持つてくる

ときの帰り路は、やはり六月のときと同じやうに、新宮市から木の本へ出で、そこから三時間ばかり省営自動車に乗り、十

であるときいてゐた。これにつぐのが伊豆の天城山、丹波の雲ヶ畑、日向の霧島山あたりで猟れるものであるさうだが、紀州の

高山脈が南に走つて高峰山となり、その裾を熊野灘に浸たさうとする肩の辺にあつて、なほ標高二千五百尺。随分難路を

でゐた。天明三年、信州と上州とに胯がる浅間山が爆発して熔岩を押しだし、それが利根川の下流まで流れ溢れ、私の村の

もちよつと当惑した。だが、しばし考へてみると先年浅間山の北麓六里ヶ原へ山女魚釣に赴いたとき、そこの養狐場へ厄介になつ

ときいてゐた。これにつぐのが伊豆の天城山、丹波の雲ヶ畑、日向の霧島山あたりで猟れるものであるさうだが、紀州の猪

まで集まつてきたが明治になつてからはこれを神戸の商館へ持ち込んで外国へ輸出してゐる。しかし、奥利根の上越国境

、羚羊、猿、山猫、山犬などの毛皮を携へて遥々前橋まで集まつてきたが明治になつてからはこれを神戸の商館へ

上州は、有名な狸の産地である。この事実は、館林の茂林寺にある文福茶釜の伝説などによつたものではなく、前橋市

、肉の方だけはこの際なんとかなるまいか、東京では、なにかと代用食が流行つてゐるさうだ。狸も、その

酒友数人のほかに、所謂食通と称する人物と、東京で代表的な料理人と言はれる連中四五人を集め、狸公を味覚の上

初冬の真昼、友人数名と共に銀座の舗道を歩いた。すると、前方から有閑婦人が頗る高貴な銀狐の