駅夫日記 / 白柳秀湖

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地名一覧

愛宕山

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品川の海はいま深い夜の靄に包まれて、愛宕山に傾きかけたかすかな月の光が、さながら夢のように水の面を照し

増上寺

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見ていることが出来ないというので、死を決して増上寺から不正の升を掠めて町奉行に告訴した、権之助のために増上寺の

の升を掠めて町奉行に告訴した、権之助のために増上寺の不法は廃められたけれども、かれはそれがために罪に問われて

武蔵野

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寂しい冬の日は暮れて、やわらかな春の光がまた武蔵野にめぐって来た。

ところなど、景色も道も単調ではないけれど、静かな武蔵野の春にわれ知らず三里の道を行き尽して、多摩川の谷の一目

横浜

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千代子は今茲十七歳、横浜で有名な貿易商正木某の妾腹に出来たものだそうで、その妾という

どうして大槻という奴は有名な男地獄で、もう横浜にいた時分から婆芸妓なんかに可愛がられたことがあって大変な玉

浜松

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池田某が浜松の県令に撰抜されたからで、母は桜田の騒動以来、この

北海道

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を嘗めて蒔いた種がこのごろようやく芽を出しかけた。北海道にも、足尾にも、別子にも、長崎にも僕たちの思想は煙

稲荷坂

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稲荷坂というのは、旧布哇公使の別荘の横手にあって、坂の中ほど

御殿山

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ような春雨がしとしとと降り出した。ちょうど一行の車が御殿山の森にかくれたころのことである。

日比谷公園

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おろそかにするところにある。近ごろ大槻はある連中とともに日比谷公園の表門に新設される血なまぐさいパノラマを描いたとかいうので朋友の

青森

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「東京から青森まで行く間にちょうど、一里十六町ばかり、軌道なしで走るところがある

そんなことで怒るくらいならば僕も君に怒るぞ。もし青森までに軌道なしで走るところが一里十六町あったらどうするか」声

たら一哩にあれがおよそ五十ばかりあるとね、それを青森までの哩数に当てて見給え、ちょうど一里十六町になるよ、つまり

静岡

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私の父は静岡の者で、母はもと彦根の町のさる町家の娘で、まだ禿

て父と結婚して、長い御殿奉公を止めて父と静岡にかなりの店を開いて、幸福に暮していた。母の幸福な

下谷

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苦労性の気の弱い母もついに私の願望を容れて、下谷の清水町にわびしく住んでいる遠縁の伯母をたよりに上京することを許して

去年の春下谷の伯母を訪ねて、その寡婦暮しの聞きしにまさる貧しさに驚かされ

なく抛げ出して入社した三崎町の苦学社を逃げ出して再び下谷の伯母の家に駆け込んだ時は、自分ながら生命のあったのを怪しん

故郷の母のこと、下谷の伯母のこと、それから三崎町の「苦学社」で嘗めた苦痛と恐怖

長崎

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かけた。北海道にも、足尾にも、別子にも、長崎にも僕たちの思想は煙のように忍び込んで、労働者も非常な勢い

長崎の水谷造船所と九州鉄道の労働者間にこんどよほど強固な独立の労働組合が組織

自宅にて結婚の式を挙げられたり。なお同氏は新たに長崎水谷造船所の技師長に聘せられ来たる四月一日新婚旅行を兼ね一時郷里熊本

巴里

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祠の縁に腰をかけて、私はここで「通俗巴里一揆物語」の読みかけを出して見たが、何となく気が散って

熊本

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技師長に聘せられ来たる四月一日新婚旅行を兼ね一時郷里熊本に帰省せらるる由なり。

大崎

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は、行人坂に近い夕日が岡を横に断ち切って、大崎村に出るまで狭い長い掘割になっている。見上げるような両側の崖から

川は夕日が岡と、目黒原の谷を流れて、大崎大井に落ちて、品川に注ぐので川幅は狭いけれども、流れは案外

来た。コソコソと室に入って椅子によると同時に大崎から来た開塞の信号が湿っぽい空気に鳴り渡った。乗客は一人も

私は多摩川の丸子街道に出て、大崎に帰ろうとすると火葬場の門のあたりで四五人の群に行き合うた。

ぬ、一隊の工夫は恵比須麦酒の方から一隊の工夫は大崎の方から目黒停車場を中心として、だんだんと工事を進めて来る。

大崎村の方から工事を進めて来た土方の一隊は長峰の旧の隧道

家の垣に沿うて、橋和屋という料理屋の傍から大崎の田圃に出た。

大崎停車場は軌道の枕木を黒く焼いて拵えた粗っぽい柵で囲まれている

目黒

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目黒の停車場は、行人坂に近い夕日が岡を横に断ち切って、大崎村

た。私は駅名喚呼をしなければならぬ、「目黒目黒」と二声ばかり戸を開けながら呼んで見たが、どうも羞かしいよう

着いた。私は駅名喚呼をしなければならぬ、「目黒目黒」と二声ばかり戸を開けながら呼んで見たが、どうも羞かしい

麦酒を飲みながら私にいろいろの話をしてくれた、目黒界隈はもと芝増上寺の寺領であったが、いつのころか悪僧ども

欄干にもたれていた。この川は夕日が岡と、目黒原の谷を流れて、大崎大井に落ちて、品川に注ぐので川幅

私がさる人の世話で目黒の停車場に働くことになってからまだ半年には足らぬほどである。

秋もやや闌けて、目黒はもうそろそろ栗の季節である。

「そうか、目黒から来たのか、家はどこだい父親はいないのか」

歳あまり、もと陸軍の医者で、職を罷めてからは目黒の三田村に遷り住んで、静かに晩年を送ろうという人、足立駅長

坂本町に住む伯母の知己の世話で私が目黒の駅に務めることになったのは、去年の夏の暮であった

に、行く秋のあわれをこめて聞えて来る。先刻、目黒の不動の門前を通ったことだけは夢のように覚えているが、

の夕、その後私は幾たびも大槻が千代子を送って目黒に来るのを見た。二人がひそひそと語らいながら、私の顔を見

恋はその後幾ほどもなく消え失せて大槻の姿は再び目黒の階壇に見られなくなった。例えば曠野に吐き出した列車の煤煙の

夏の初めから山の手線の複線工事が開始せられた。目黒停車場の掘割は全線を通じて最も大規模の難工事であった。小林浩平

工夫は恵比須麦酒の方から一隊の工夫は大崎の方から目黒停車場を中心として、だんだんと工事を進めて来る。

私が門司に行くのを喜んだのは一つには目黒を去るということがあるからである。私はこのごろ、馴染みの乗客に

「ヒヤヒヤ、二三年目黒にいて時々停車場へ遊びに来るようだとなおいいだろう」と柳瀬と

遠くけたたましい車輪の音がするので振り返って見ると、目黒の方から幌をかけた人力車が十台ばかり、勢いよく駆けて来る。

品川

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品川行きの第二十七列車が出るまでにはまだ半時間余りもある。日は

品川行きのシグナルを処理して私は小走りに階壇を下りた。黄昏の

、目黒原の谷を流れて、大崎大井に落ちて、品川に注ぐので川幅は狭いけれども、流れは案外に早く、玉のよう

は日曜で、乗客が非常に多い。午後一時三十五分品川行きの列車が汽笛を鳴らして運転をはじめたころ、エビスビールあたりの帰り

この間の工学士というのは品川に住んでいた東京市街鉄道会社の技師を勤めている蘆鉦次郎という

のところに尽きている。目黒川はその崎を繞って品川に落ちる、その水の淀んだところを亀の子島という。

苜蓿の上に横たわって沈欝な灰色の空を見た。品川発電所の煤煙が黒蛇のように渦まきながら、亀の子島の松をかすめて遠い

今年の卒業生中才色兼備の噂高き高谷千代子(十九)と昨日品川の自宅にて結婚の式を挙げられたり。なお同氏は新たに長崎水谷造船所

品川の海はいま深い夜の靄に包まれて、愛宕山に傾きかけたかすかな

下の関直行の列車に乗るために小林浩平と私は品川停車場のプラットホームに、新橋から来る列車を待ちうけている。小林は午後三時

四月一日午後十一時十二分品川発下の関直行の列車に乗るために小林浩平と私は品川停車場の

新宿

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溢れていた。大槻というのはこの停車場から毎朝、新宿まで定期券を利用してどこやらの美術学校に通うている二十歳ばかりの青年

客は皆階壇を下りた、私は新宿行きという札をかけ変えて、一二等の待合室を見廻りに行った。

て、転ぶように階壇を飛び降りたが、その刹那、新宿行きの列車は今高く汽笛を鳴らした。

日比谷

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「日比谷まで……今夜、音楽があるんだ」と言い放ったが、白い華奢な

東京

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「東京から青森まで行く間にちょうど、一里十六町ばかり、軌道なしで走るところ

この間の工学士というのは品川に住んでいた東京市街鉄道会社の技師を勤めている蘆鉦次郎という男で、三十二年の

志願だろうと想像していたが、彼は上京して東京専門学校で文学を修めた、この間駅長は鉄道学校にいて彼に関する

新橋

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に出来たものだそうで、その妾というのは昔新橋で嬌名の高かった玉子とかいう芸妓で、千代子が生まれた時に世間

、新橋から来る列車を待ちうけている。小林は午後三時新橋発の急行にしようと言うたのを、私は少し気がかりのことがあっ

に乗るために小林浩平と私は品川停車場のプラットホームに、新橋から来る列車を待ちうけている。小林は午後三時新橋発の急行にしよう

渋谷

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喘ぐように、大きな音を立てて泥炭の煙を吐きながら渋谷の方へ進んで行く、高谷の乗っている室がちょうど遠方シグナルのあたり

ている、土工列車がプラットホーム近くで進行を止めた時、渋谷の方から客車が来た。掘割工事のところに入ると徐行して、

巣鴨

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大槻の家族が巣鴨に転居してから、一週間ばかり、金曜の午後私が改札口にいる

上野

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その夕、大槻は千代子を送ってプラットホームに降りたが、上野行きの終列車で帰った。土曜、日曜の夕、その後私は幾たびも

大宮

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一時間にわたって熱心に説明してくれた。「先年大宮で同盟罷工があってから、一時社会では非常にあの問題が喧しかった

「時の力というものは恐ろしいものだ。大宮一件以来もう十五年になる、僕たちが非常な苦痛を嘗めて蒔い

目黒川

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いつの間にか私は目黒川の橋の上に佇んで欄干にもたれていた。この川は夕日が

けれども、黒蛇のような煤煙はもうやんでしまった。目黒川の対岸、一面の稲田には、白い靄が低く迷うて夕日が岡は

遠く出島のように、メリヤス会社のところに尽きている。目黒川はその崎を繞って品川に落ちる、その水の淀んだところを亀の子島

京橋

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いる有名な某文学者の手になった翻訳である。一時京橋のある書肆から発行されるという評判があって、そのまま立消えになっ