九州 三崎 館山 城ヶ島 天城山 伊豆 長崎 東京

あらう。この仕事は結局失敗に終つた。而して昔の九州の古問屋としての華やかなロウマンスの百が一の効果も得なかつた

年一月二日、哀傷のあまりただひとり海を越えて三崎に渡る。淹留旬日、幸に命ありてひとまづ都に帰る。これわが流離

私等の新居はこの三崎の向ヶ崎の浜にあつた。時俗呼んで今も向ヶ崎の

三浦三崎は三浦半島の尖端に在つて、遥かに房州の館山をのぞみ、両々相対して、而も貴重なる東京湾口を扼してゐる、風光明媚

城ヶ島の白百合の花大きければ仰ぎてぞあらむあそびの舟は

城ヶ島の女子うららに裸となり見れば陰出しよく寝たるかも

城ヶ島の女子うららに裸となり鮑取らいで何思ふらむか

しんしんと夕さりくれば城ヶ島の魚籠押し流し汐満ちきたる

城ヶ島の落日

城ヶ島の燈明台にぶん廻す落日避雷針に貫かれけるかも

城ヶ島さつとひろげし投網のなかに大日くるめきにけり

城ヶ島のさみどりの上にふる雨の今朝ふる雨のしみらなるかな

相模のや三浦三崎は目の前に城ヶ島とふ島あるところ

。海は又どの室からも見えた。而して前には城ヶ島の緑が横たはり、通り矢とその間の五丁にも足らぬ海峡

大日輪落ちつきはらひ伊豆の岬の天城山へとかかりけるかも

大日輪落ちつきはらひ伊豆の岬の天城山へとかかりけるかも

崎の異人館と云ふのがそれである。この家はもと長崎の領事をしてゐた老仏蘭西人がその洋妾と暫らく隠棲して

大きなる椿ほたりと落ちしなり屹驚するな東京の子供

に房州の館山をのぞみ、両々相対して、而も貴重なる東京湾口を扼してゐる、風光明媚の一漁村である。気候温和にして

はまた都会の生活が恋しくなつて、秋が来るとすぐ東京に引上げて了つたのである。それで私だけは居残る事になり

幸に、土地の漁船より新鮮な魚類を買ひ占めて東京の魚河岸に送る商買をはじめた。私は全く与らなかつたけれども

一部だけを得たのみである。その他は小笠原島や東京に帰つてから、幸に感興の再現を得て、筆を執つたもの

一旦東京を遠離してから、私の生活は一変した。地上に湧き上る新鮮な