駿河台 金閣寺 深大寺 聚光院 長江 唐招提寺 靖国神社 富山 山形 前橋 お茶の水 神田 阿佐ヶ谷

昭和十二年十一月、眼疾いよいよ昂じて、駿河台の杏雲堂病院に入院して以来、同十五年四月、砧の成城

苔清水ひびきつたふる幽かなる金閣寺の庭を我家にぞ聴く

深大寺の九月

深大寺の池、水澄みたらし下照りて紫金の鯉の影行く見れば

三百五十年遠忌によせて、その墓所、京の聚光院へ贈れる懐紙の歌一首

長江の大き出水は見るさへや空をのみ映し白き積雲

唐招提寺金堂追想

再び唐招提寺の和上を憶ふ。芭蕉に句あり　若葉しておん眼の雫拭は

靖国神社を偲びて、一首

隆太郎富山高校に入りてより早や四十日にもなりぬ

編隊機けだし進むは山形と列並む雁の一機先かゆく

前橋理研工場所見

お茶の水電車ひびくに朝早やも爽涼の空気感じゐるなり

団一行を迎へて、日本古武道型大会開かる、会場神田国民体育館、主催は日本文化聯盟なり、我視力乏しけれども行きて参観す

以来、同十五年四月、砧の成城よりこの杉並の阿佐ヶ谷に転住するに至る、約二年有半の期間に於ける薄明吟の集成