箱根 大井町 伊吹山 中津川 筑後 桑名 天竜峡 名古屋 鈴鹿 駒ヶ岳 名古屋市 伊吹 伊勢 笠置山 金華山 小牧山 京都 岐阜 福島

塩っぱいオムレツの上にのぞんで、決して自分を取り乱さなかった。箱根の嶮路にかかって、後部の大きな硝子戸に、機関車がぴったりとくっつき、そのまま

この恵那峡は木曾川の中流である中津川駅の傍から大井町に至る水程三里の間にあって、岐蘇渓谷中の最勝の奇

低迷したそれは恐らく驟雨の最中であるであろうところの伊吹山のあたりまでをバックに、ひろびろと霞んだうち展けた平野の青田も眺められ

もラインとよく似た美しい一つの天象だという。伊吹山の気流の関係で、この日本ラインにのみ恵まれた雲と夕日の季節の祭り

西には養老の山脈、遥には伊吹山、北には鉄橋を越えて、岐阜の金華山、幽かに御岳。つい

心が騒めきやまぬ。駅から駅への電話が、この中津川で行先不明の私たちをやっと捉えると、直にも引き返さねばならぬ重大用件

笑った。多治見にいち早く私たちを出迎えてくれて、それから中津川に着くまでの汽車中を分時も宣伝の饒舌を絶たなかった、いささか豸

祭るは水郷のほこりである。精華である。私の郷国筑後の柳河は沖の端の水天宮の水祭には、杉の葉と桜の造花

西は渺々たる伊勢の海を眼界の外に霞ませて桑名へ至る石船の白帆は風を孕んで、壮大な三角洲の白砂と水と

岩相の奇峭は豊の耶馬渓、紀の瀞八丁、信の天竜峡におよばず、その水流の急なること肥の球磨川にしかず、激湍はまた

子は、それこそひとりで大喜びであった。その夕方、名古屋の親戚の家の玄関に立った時にも、別に鼻白みもしなかった

彩雲閣へ戻ると、小坊主は直と名古屋へ帰るといい出した。名古屋の伯母さんは昨夜、この子の母に長距離

戻ると、小坊主は直と名古屋へ帰るといい出した。名古屋の伯母さんは昨夜、この子の母に長距離の電話をかけていた。

錨を下ろし纜をもやったのであった。と、名古屋から電話がかかっていて隆太郎の母は直にも見えるはずだということ

で年に一度の花火の大会がある筈であった。名古屋の甥たちや隆太郎にも見に来るように通知はしたが、それも

隆太郎はその朝、従兄弟たちと名古屋から来た。彼の母はとうとう見えないことになった。すっかり期待を裏切ら

も見た。何でも余りに便通がないので、名古屋では挙って心痛したということであった。「そりゃあね、庭の

私たちはその翌日、養老へ立った。そこで二泊、名古屋に引き返して一泊、それから恵那へ行った。

続いて西へと連るのは多度の山脈である。鈴鹿は幽かに、伊吹は未だに吹きあげる風雲の猪色にその嶺を吹き乱されて

ていた。そのすばらしい白と金との向うに恵那、駒ヶ岳、御岳の諸峰が競って天を摩しているというのだ。見えざる

あの冬の名古屋市はまったく恐怖と寒気とで、その繁華な、心臓の鼓動もとまりそうであっ

掻き乱されている。鮮麗な電光飾の輝く二時間前の名古屋市である。

連るのは多度の山脈である。鈴鹿は幽かに、伊吹は未だに吹きあげる風雲の猪色にその嶺を吹き乱されている。

西は渺々たる伊勢の海を眼界の外に霞ませて桑名へ至る石船の白帆は風を孕ん

その下の鞍掛岩。その左は展けた下流の空の笠置山。雲だ、雲だ、雲だ。

遥には伊吹山、北には鉄橋を越えて、岐阜の金華山、幽かに御岳。つい水の向うが四季の里の百日紅。

曇天光まで続いて、ただ一つの巒色の濃い、低い小牧山が小さく鬱屈している。その左にほうふつとして立つ紫の幻塔が

「京都のモスリン会社の別荘で」とＭ君が枝豆をつまむ。

ましたが、この夏は六十名くらいでしょうか、それに岐阜加納竹ヶ鼻笠松の子供が一週に四、五回は先生に連

山脈、遥には伊吹山、北には鉄橋を越えて、岐阜の金華山、幽かに御岳。つい水の向うが四季の里の百日紅

ならぬ重大用件を取りついだのである。で、上流の福島や寝覚の床探勝の予定も中止すると、どうでも明十三日の