明治神宮 深大寺 樺太 萩 琉球 筑波 名古屋城 高槻 印旛沼 天王寺 筑紫 巴里 千葉 松山 奈良 鶯谷 日暮里 代々木 洗足池 東京

若葉樫しきりかがよひ午ちかし明治神宮の春蝉のこゑ

深大寺

黒南風にかがよふ群の青杉は嫩芽ふきたつ深大寺の森

深大寺松風ひさしこの隱る黒南風はくらしけだし夜に入らむ

大葉栗しろくなだるる花群は深大寺出でて布田へ行く道

の中、覊旅を主としたる印旛沼、北信、鹽原、樺太、北海等の短歌・長歌・口語歌。及新作増補。

青萱の野萱にまじるさざれ萩この朝涼をすでに綴れり

接待の泡盛は琉球の大甕なり

霜いたり空は濃青き夜の明けに筑波の山はくきやかに見つ

蝉しぐれしづかにかよふ晝闌けて子と組み立つる名古屋城の型

砧村燈火管制の時過ぎて月明らけし高槻がうへに

昭和二年に至る作品の中、覊旅を主としたる印旛沼、北信、鹽原、樺太、北海等の短歌・長歌・口語歌。及新作増補

たその家は石井久太郎氏の有であつて、元は天王寺の坊中の隱居所の一つであつたらしい。廂が深く、晝もな

筑紫の我が不知火のおぎろなき氣性このごとし爆破し止んぬ

に浮きたり。呼びそめぬ、ラヂオのニユース、フラン落ち、巴里暴動す、ポアンカレーまた世に出でむ。子らよよし、冷麥食べむ

の群この夜とどとし來て居りと思ふだによしを千葉聯隊の馬

下總や千葉の水沼になげかひし愛し野鴨を家に死なしつ

の松蟲の音とぞなりにける夜霧ふり下りここは松山

年より同八年に至る作品の中、木曾川、北越、奈良、北九州、滿洲、濱名、富士五湖等の覊旅、飛行等の短歌

陸橋に灯の點く見れば夜靄立ち鶯谷の春も去ぬめり

寒夜、日暮里驛のベンチに相抱きて曉に發つ汽車を待つ母と十一二

駒竝めて兵還り來ず代々木よりただち本隊へ駈けにたるらし

霾らし嵐吹き立つ春さきは代々木野かけて朱の風空

初夏の代々木

代々木練兵場

代々木練兵場朗らけく明し若葉どき上下八方にとどろく物音

代々木の空若葉盛りあがる色見れば青あり緑あり時闌くるあり

洗足池のほとり食用蛙を釣る浮浪者殖えたり、一匹の値五圓なりといふ。

になり、蒲田から大井へ通ずる貨物線が敷かれた。洗足池方面へ向ふ途次の陸橋からは、南に富士が仰がれた。そのあたり

二月二十七日の夜、與謝野寛先生の還暦祝賀會を東京會館に開く。その折、梅に因みて獻げたる歌十首、但し

馬込緑ヶ丘、世田ヶ谷若林、砧村、此の四ヶ所に於ける、東京轉住以來の生活を主としたる短歌及長歌。