風隠集 / 北原白秋
地名一覧
萩
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萩すすきにほふ日頃の親しくて通らせてもらふとなりの道を
隣べは秋いち早し萩すすきながめまさりぬ道をうづみて
萩すすき観つつ隣ればうらやすし今さらかはす言のすくなさ
箱根
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去冬、箱根に遊びて
堂ヶ島
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堂ヶ島の雪
二月十七日、前田夕暮君と、妻と三人堂ヶ島に遊ぶ。
堂ヶ島春近むらし雪解水とどろきたぎち昨日にも似ず
松山
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雪解靄いまだはこもれ松山の高きを移る頬白のこゑ
日の在処くろく幽けき女松山の春雨親し田雲雀のこゑ
夕湿る女松山ゆき野山ゆき弟と語らふ父母の事
松山に子が母待つと乳母ぐるま停めてをりけり松蝉のこゑ
早や早やも松蝉鳴けりききてゐてこの松山も暑しと思ひぬ
秋田
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山寺の春も闌けたり秋田蕗の大きなる葉に雨は音して
註・住職は秋田の人なり
荻窪
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の裏山に酒を温めて歓語す。後、水之尾より荻窪を散策して帰る。
目白
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日にましに赤の豆柿にぎはひぬ山の目白の数つどひつつ
目も円らなり窓ぞひに豆柿が赤く一羽の目白
朝なさなふと目ざめつつ見るものに目白はうれし柿の実にゐる
柿の実に目白来てをり吾が見るとまだ知らざらし啄みほれぬ
豆柿に目白群れ来る朝かげは※に面出し子と楽しみぬ
ひそけさよ小さき目白の枝越しに揺りつつきをりまんまろき柿を
豆柿に目白散らばりひそかなりたまたま来たる百舌の大きさ
柿食みにつどふ目白も寒からし孟宗の枝に移り啼きつつ
鵯来れば目白逃げちり百舌の声に鵯翔けり去りぬ赤きは豆柿