蓬生 / 与謝野寛
地名一覧
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所が先住の道珍和上は能登国の人とやらで、二十三で住職に成つたが学問よりも法談が太層
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に出家し、六条の本山の学林を卒業してから江戸へ出て国書を学び、又諸国の志士に交つて勤王論を鼓吹した
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下の富豪や寺院をてくてくと歴訪する。其れは隣村の鹿ヶ谷に盲唖院と云ふものを建てる趣意書を配つて応分の寄附金を勧誘する為
死人花を持つた儘畑を横切つて、半町も無い鹿ヶ谷の盲唖院へ駆けて帰つた
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軒あるで無い、西本願寺派の別院並で、京都の岡崎にあるから普通には岡崎御坊で通つて居る。格式は一等本座と云ふ
云ふ真言宗の御寺の廃地であつたのを、此の岡崎は祖師親鸞上人が越後へ流罪と定つた時、少時此地に草庵を構
と定つた時、少時此地に草庵を構へ、此の岡崎から発足せられた旧蹟だと云ふ縁故から、西本願寺が買取つて一宇を
諸国の志士に交つて勤王論を鼓吹した。其頃岡崎から程近い黒谷の寺中の一室を借りて自炊し、此処から六条の本山に
と噂した。もともと天下を我家と心得て居る和上は岡崎の土地などを眼中に置いて居ない所から、在所の者に対して横柄
。今に御寺の本堂を浪士の陣屋に貸して、此の岡崎を徳川と浪士との戦場にする積りだらう、と云ふ事である。で
和上を憎んだが。檀那寺の和尚では無いから、岡崎から遂ひ出す訳にも行か無かつた。
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、此の岡崎から発足せられた旧蹟だと云ふ縁故から、西本願寺が買取つて一宇を建立したのだ。其時在所の者が真言の
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後で直ぐ、朝命を蒙つて征討将軍の宮に随従し北陸道の鎮撫に出掛けたと云ふ手紙や、一時還俗して岩手県の参事を拝命し
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出来た。是が貢さんの父である。此の住持は丹波の郷士で大庄屋をつとめた家の二男だが、京に上つて学問が
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巧く、此の和上の説教の日には聴衆が群集して六条の総会所の縁が落ちるやら怪我人が出来るやら、其れ程に評判であつた
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が一軒あるで無い、西本願寺派の別院並で、京都の岡崎にあるから普通には岡崎御坊で通つて居る。格式は一等
入れた風呂敷包を小脇に挾んで、洋杖を突いて、京都府下の富豪や寺院をてくてくと歴訪する。其れは隣村の鹿ヶ谷に盲唖
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『神戸の夷人さん処。委しい事は阿母さんなんかに被仰らないけれど、日本で
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『明るい処つて、何処。大坂か、東京。』