さかずきの輪廻 / 小川未明
地名一覧
地名をクリックすると地図が表示されます
の江戸時代の泰平の夢も破れるときがきました。江戸の街々が戦乱の巷となりましたときに、この一家の人々も、ずっと
江戸から、田舎へのがれてくる時分に、みんないろいろなものを捨てて、着の
地名をクリックすると地図が表示されます
昔、京都に、利助という陶器を造る名人がありましたが、この人の名
、あまり人に知られなかった陶工の名人が、昔、京都にあったということを読みました。そして、強く胸を突かれまし
地名をクリックすると地図が表示されます
がありました。ちょうど江戸末期のころで、ある日、日本橋辺を歩いていまして、ふとかたわらにあった骨董店に立ち寄って、いろいろ
そのさかずきを、買った人は、日本橋の裏通りに住んでいる骨董屋でありました。その人は、まことに思いがけ
地名をクリックすると地図が表示されます
の街に憧れていました。そして、いつかは、東京に出て、なにか仕事をして、かたわら、勉強でもしようという
ませんでした。彼は、いつからともなくにぎやかな東京の街に憧れていました。そして、いつかは、東京に出て
て、それを荷物の中にいれました。彼は、東京へ出てから、なにかたしになるであろうと、思ったのでした
、家のことを姉や、弟とに頼んで、自分は東京へ出ることになりました。そのとき、彼は、昔から家にあっ
彼は、東京へきてから、ある素人家の二階に間借りをしました。そして
孫は、東京へ出ると、じきに掛け物は売ってしまったのです。
たのを、自分が、むざむざ持ち出して捨てるように、この東京のつまらない古道具屋にやってしまったと考えると、彼はなんとなく
「あなた、この広い東京ですもの……。」といって、男は、きつねのような顔つきを
東京の街は、広いのでした。大海に、石を投げたようなもの
江戸時代のあの時分から、東京のこの時代に至るまで、また、幾十年をたちましたでしょう。
の光景を見て、自分の家も祖父までは、この東京に住んでいたのだなと思いました。
地名をクリックすると地図が表示されます
、それでも、無事に、ふたたび江戸時代と変わらない、東京湾に近い、空の色を、街の中からながめたのであります。