東京

ほんとうは、それはまだ、東京の郊外の、ちょっとした新開地にしかすぎません。けれども、今まで山

かれはやはりうれしくなりました。どんなに貧しい人でも、東京へさえいけば、なにか働く道もあるし、りっぱになれるということ

しかし、これでやっと東京へ着いたのだ、と思うと、かれはやはりうれしくなりました。どんな

「おめえのような人間は、いまのうちに東京さいって、なにかしたらいいだ。気だても素直だから、どこさで

「ふふん、それでおまえは東京に出て来て、どこにも頼る人はないのか。」

「東京って、そんな生やさしいとこじゃないよ。みんなぶっ倒しっこをして暮しているん

、こんなに電信柱やなにかが立たなかった時分には、東京でも、どんなに大きな凧を上げたかを話したりして、

た。それを聞くと清造は、いつも悲しくなりました。東京の市中へ使いにいって、あのものすごい雑沓に出あうと、かれは自分