天満 淀屋橋 梅田 豊国神社 九州 堂島 難波 大阪 関西 芦屋 ニューヨーク 江戸 名古屋 大阪市 日本アルプス 宝塚 サンフランシスコ ローマ アテネ パリ 博多 通天閣 松島 生駒山 神戸 京都 奈良 松江 恵比寿 東京

の聖天様も、能勢の妙見さんも、高津神社も、天満の天神さんも毎日満員である。

所に、ある者は春日出の電燈会社に、ある者は天満のメリヤス会社に談判に行った。

安治川菊子嬢は、天満方面の煤煙降下が最もはなはだしいと聞いていたので、その方面に回った

十七　淀屋橋の瞑想

こう叫んだのが梅田である。

こう梅田が冷やかす。

こう、梅田の馬さんが大きい声で尋ねた。夏の暑い日の午後、阿倍野葬儀場

そう梅田が松島に尋ねた。

島は梅田に質問した。

梅田は松島の袂を引いて、

と松島が、梅田に言うた。

の品評をやっていた。それでも焼香が始まると梅田は市会を代表して、焼香に出た。

で砲撃を受ける前に着陸して、素知らぬ顔をして梅田まで歩いて行った。

「私らは東京に帰ろうと思うて、梅田に行くところです」

松島が裁判長で、梅田、島、堀江などが陪席判事という資格である。もちろん私設裁判所だから、

そう梅田が言うた。

何人が推薦するより有力な推薦者を持っている。彼は豊国神社の主神と交通があるところから見ると、神ながらの道に通じ、あるいは天照

してやりましてん。実はな籠伏せにしても、豊国神社の祟りがあるかと思うて心配しづくめでした。……しかしやはり水商売は

大正七年八月の米騒動の時に安治川の炭坑は九州でも第一に騒いだところであった。その時に安治川は大阪から急行

ある者は水道の鉄管が破裂したのだと言う。堂島も北浜もそのために、多少不安の色が見えておる。あんな不思議な洪水

に、焦熱地獄のそのわめき、恋も情も煙り行く、難波の果ぞ哀れなる……」

ないで、苦しんだあげ句、自分自らを市長に推挙し、大阪の空中征服を思い立ったのである。それで、号外の出たのは彼

あると思います。その第一は何を言うても、大阪の空中征服であると思います。今日のごとき空を持ち、あの煙突と、

しかしわが大阪の空気は炭坑に比べて決してよいと言うことは出来ませぬ。大阪の空中

は炭坑に比べて決してよいと言うことは出来ませぬ。大阪の空中の炭酸ガスの量は常に百分の五以上であり、その煤煙

今日かりに、生駒山が噴火して、大阪はまったく昔のポンペイ市のごとく地下に埋没したとしてみたまえ。

たとしてみたまえ。そして三千三百三十三年後に今日の大阪を発掘せねばならぬことになったと仮定したまえ、それは何

『なんでもこの付近は、昔大工業の発展した大阪という都市があったんだそうな』

というのはまったく、大阪の空のために作られた言葉だと思うと彼は市長の椅子を占め

不満な心持ちで、市庁舎の窓から、大阪の西の空を見てみると、野田、春日出の方面において、住友

「ね、市長、実際大阪の煤煙はどうにかしなくてはいけませんな。うちの子供はみな

咳はする、毎日医師に診てもらう、私はほんとに大阪の空が呪わしく思います」

なければならぬ大きな娘を持っておるのですが、やはり大阪の煙のために肺を悪くしましてな、ただ今は浜寺に保養さ

が悪いと言うて帰って来たが、とても君、この大阪じゃ養生はさせられないしね、宝塚へやってあるのだが、まったく

られないしね、宝塚へやってあるのだが、まったく大阪の空気は悪いね。どうにか、ならんものかね」

「私の宅に娘がありますが、大阪の市内で育てたばかりに肺病にかかって嫁にもやれないのであり

こんな経験は私一人ではないと思います。これもみな大阪の空気が悪いためでありまして、私はこの大阪の空を呪うもので

みな大阪の空気が悪いためでありまして、私はこの大阪の空を呪うものであります。しかし我らが少し目覚めて、煙筒に五千

」「猫に小判」ということはよく知っている。大阪の市会議員の連中にいくら、都市衛生学を説いたところで、また都市美学を説明

石炭の粉末を空中に送るのと同じことであります。大阪には大小煙筒らしい煙筒が三万三千三百三十三本あり、百尺以上の煙筒が、一千九百九十九本

れたあの壮大な大大阪の名を傷つけないように、大阪の市会議員によく言うて聞かせていただきたいのです」

政治がとれない。私はどうしても、私がかつて大阪で実行したように、会とか組合とかを通じて、代表者の意見

演壇に立つとすぐ弁士中止をやるのだから、実に大阪の警察当局のやり方はひどい。徳川政府によく似たところがある。いや徳川

出しておりませんよ、こんな空を見ることは実に大阪としては珍しいことです」

「久しぶりに大阪の空が晴れました」と。

「おい、賀川、貴様は労働者を煽動しやがって、大阪の煙筒から、一本も煙が立たぬようにすると言いやがったそうじゃ

全国には毎年十五万人が肺病で倒れるそうであるが、大阪には肺病人がとくに多い理由がよく貧民窟にいるとわかる。金持はみな郊外

に一人か、二人か肺の悪い人はあるものです。大阪に住んでいる人にはそれは免れないものと考えなければなりませんな

「フウム、世の中も変りますね、大阪の娘がそんな熱烈な恋が出来るようになりましたかな。この煙の

ようになりましたかな。この煙の中に育った大阪の娘には恋も何も出来ない青瓢箪ばかりかと思っておりました」

二三　恋の烟る大阪

それはいとも目出たく存じ候。とかく府中は騒々しき上に、大阪のごとく煙深くては姫君の体にはさわり申し候」と言われる。

「大阪のごとく、煙の立ちこむる都にてはいみじく美しき恋は遂げらるべくもこれなく

「大阪では、恋までが煙っている。恋までが煙る！　」

水と、自分の恋と、電燈の輝きで美しい夜の大阪とを考えの中で比較してみると自分が、自分に奇まれて

「丁稚上りの分際で、お嬢さんにご忠告申すのは大阪の流儀にかなわぬかは存じませぬが、私たちは、あなた方お二人の

……。いったいお前がこの大阪市で珍重がられるのは、大阪の電燈はいつも暗いし、昼の日中に俺が二度の日の出に、

に、二度の日没をやって、一日二十四時間に大阪では夜が三度あるもんじゃから、おまえの胴腹ばかりが脹れるんじゃない

「お日様、あなたは感心や。天から見とったら大阪の人間は皆馬鹿と見えまっしゃろな」と尋ねる。それに対するお日様の答えが

私は親類筋の煙筒にいいつけて、今日からはあなたを大阪の煙でこの世界から燻り出しますぜ……今日限りあなたは大阪の土地を一切

の煙でこの世界から燻り出しますぜ……今日限りあなたは大阪の土地を一切見ることを許しませんよ」

こんなに言うてガスタンクが怒った。それ以来である。大阪ではますます煙が濃くなって日中でもお日様が見えなくなったのは。

彼は一日三度の夜と二度の日の出のある大阪から煙を絶やすために努力した。しかし初めての市会も失敗し、労働者の

は再び市会を開く前に発明家の大会を開いて、大阪の煙が全部消失してしまう工夫をしたいと考えた。

市の発明家はもちろんのこと日本全国の発明家を全部大阪に集めることにした。

、これはごく最近の統計でありますが、ご覧の通り大阪の児童は身長においては全国小学校の平均身長より高いものでありますけれど

いる関係上驚くほど狭くなって来ました……。つまり大阪の児童は蔭ぼうしで育った豌豆のようなものです。背は高いが身

の重大問題じゃないかね！　この傾向で進めば、大阪の児童は五十年後には瓢箪のように胸のないものになるね！

ものでも持ち運びしなくてはならないかも知れない。大阪は人間の住むべき所ではない。おたまじゃくしの住むべきところである」

しかし、何より悲惨に響いたことは、大阪の小学校教師は全国で最も呼吸器病に犯される率が高く、五年以上工場

実際大阪ほど教育について金持の威張るところはない。二億円の都市計画が出来て

先任市長もよう手をつけなかった。学区の統一さえ出来ない大阪に、学校を通じて煙筒破壊の宣伝の出来る望みはないのである。先生

こんな先生の大阪でどうして、人間の生きる道が、真正直に教えられるものか？

の示威運動をやることも必要だと思います。そして出来るだけ大阪で生まれた胸のない咳をしている子供を背負って行列に加わり住友伸銅

急いだ。「煙と失業者」これを解決しなければ、大阪のごとき工業都市としては、実に面目ないことだと、彼は心の

堂上華族のあるものは市長に対してまず「大阪の煙をどうにかならないものでしょうかな」と挨拶代りに質問した

「ほんとに、お花さんほどの別嬪は、ちょっとこの大阪にないと、私は思うね」

。私は旦那に縁を切られてもかまいまへん、大阪の煤煙防止の運動には大賛成です」

なんか着せはしません……これから女性中心の文化を大阪に布いてみます……男子はとても都市を美しく治める力などは持ってい

大阪を男ばかりに委せておいたのが大きな誤りであったのです。これから

が大きな誤りであったのです。これからはわたしらが大阪の守護神となり、醜い男子の煙筒文明を破壊して、女性中心の芸術的文化

男子の煙筒文明を破壊して、女性中心の芸術的文化を大阪に実現せねばなりませぬ」

こんなに考えながら，彼はフラフラと貧民窟から出て、大阪の真夜中を泣きつつさまようた。

「とにかく、私は泣いて泣いて大阪を涙漬にしてやろう」

これは悪いことをした。大阪を愛するあまりに、その罪のために泣いたことが、かえって大洪水を招くよう

カラカラになった。市民は再び戸を閉じて眠った。大阪の天空に一人残された彼も、ようやく神経の平静を取り返した。血潮の

おる。あんな不思議な洪水がこの後たびたび出たものなら、大阪の煤煙どころではない、とても安心して寝てもおられないと、北浜

、その朝小便に出たところが全大阪を見下す大入道が大阪の空に立っていたので気絶して死んでしまったということから

「おい、大阪の空には毎晩大入道が出るそうじゃぜ！　」

出発せなければすべてが徒労である。こう考えて彼が大阪の空を眺めた時に大阪の煙も空の空なるものであった。

ある。こう考えて彼が大阪の空を眺めた時に大阪の煙も空の空なるものであった。

「だって、僕はこのままでは、とても大阪に帰る勇気がないのです。どうか人一人助けると思うて、仲間入りをさ

大阪の煙の下で見るのと違って、見ていても愉快である。

「今日はどこからいらっしゃいました？　大阪からですか？　京からですか？　ここはちょうど京と大阪との真ん中

ですか？　京からですか？　ここはちょうど京と大阪との真ん中で、どちらへも五里と言われております。あなたは、

「私は大阪のものです」

どうやら彼は神経衰弱も癒えたらしい。この元気で再び大阪の空中征服に出かけようと考えた。

「大阪です」

「先祖代々伝説がありましてな、大阪の街は煙のあるために危険な街だと教えられております……

「近頃、大阪では労働問題がやかましいそうですね……着実に発達しておりますか？

その積りでいて下さい。私はこれからあなたと一緒に大阪の貧民窟に帰ります。そこで私はあなたの仕事を一生懸命に助けてあげます

は心から感じた。世界に比類なき高い乳児死亡率を持つ大阪でも、婦人がかく覚醒すると何事か出来ると確信することが出来た。

一躍戦争成金になり、一角の実業家として、本店を大阪に移すことになったのであった。

ていた。一トン四円くらいにしかつかぬ石炭を大阪でそれを四、五倍も高く、売りつけた欧州戦争時代も過ぎ、石炭の

第一に騒いだところであった。その時に安治川は大阪から急行して、若松の大親分から博徒の連中を数百名も借りて主

「市長を追い出すさ、あんな市長を置いておくと大阪の資本家は丸潰れになるぜ……」

に安治川さんを憎んでいるということです。第三は大阪の労働団体ことに島村さんの系統の人々が、安治川さんを憎んでいた

を持って歩くのじゃないんだ。まったく東京に較べると大阪の街は暗くて歩けねえんだ。よくもまあ大阪人が、こんな暗い街

「君らは酸素発生器がわからないのかね、大阪のね空気が悪いので酸素発生器を持って来たのだよ」

「そうだっか？　大阪の空気がそんなに悪うおまっか？　」

わからん奴だなア、これは酸素吸入器じゃないか？　大阪の空気があまり悪いから、東京のような森の街から大阪のような煙

の空気があまり悪いから、東京のような森の街から大阪のような煙の街に来ると、これを使用しなければ酸化作用不足で

「だから発明家なんか大阪におりやしないよ。みな酸素の不足のためだよ。しかし、こんなに

天狗と鼻垂は大阪の人の煙に対する無頓着に驚きながら指定の宿に急いだ。

おい！　天狗、これは洋傘のためじゃないぜ、まったく大阪の雨はインキ色をしているのだぜ、おい、みろ、大阪の屋根

はインキ色をしているのだぜ、おい、みろ、大阪の屋根の色がみなインキ色をしているじゃないか、溝の水も

二人はまったく感心して、宿についた。しかし大阪の煤煙にびっくりしてしまったので、入浴するにも食事するにも酸素

た。「なぜか？　」と聞くと、それはまったく大阪の空気が悪いためで、肺における酸化作用が充分行われないものだ

した平面を空中に作ることができます。それでさし当り大阪では中の島の上空に、三キロメートル平方の地域を蔽う空中文化村を

家大会の第二日もまたおじゃんになった。それは大阪においてはとてもよい考えが浮んでこないから、みな一刻も早く帰りたい

道々の市民も一晩のうちに不思議な空中楼閣が、大阪の高空に出来たものだから、目を円くして天空を見ている。

「どうですか、この汚ない大阪は！　まるで塵箱を引繰返したようじゃありませんか！　」

「浪費！　浪費！　大阪では人間とエネルギーを無暗に浪費せられている。算盤文明の最後は実

「大阪は煙が多いから、煙よけにこれを使っているのです」

奈良に立寄らねばならないのであったが、深夜で関西には列車がない、それで京都を経て奈良に回った。

「ところが、その娘さんは肺が悪くて芦屋で保養していらッしゃるのです……もう、よほどおよろしいのですがね

賀川市長のように無抵抗主義でない。近頃肺が悪くて芦屋に保養はしていたが、女学校時代には学校で柔道初段の免状を

を見てまったく憤慨せざるを得なかった。かつて彼がニューヨークの市に遊んだ時に、彼は人口六百万の都会に煙の上がるのを

せるとともに世界に拡まったもので吉原の女郎屋が江戸に立つとともに日本に拡まったものじゃ、あれは公娼制度の悪結果じゃ

会計課の吏員とが喧嘩をした。それは土木課員が名古屋に出張して奈良に立寄らねばならないのであったが、深夜で関西

ところがその愛国銀行が放漫な放資政策を取ったために名古屋で取付けに会い、支払停止の貼紙をせねばならぬことになったの

ある。それで、号外の出たのは彼一人が、大阪市中に配ったのであって、誰一人号外を配達したものもなかった

大阪市が世界一の乳児死亡率を持ち、世界一の肺病都市であり、世界一の

で、大阪市がかつて横たわっておった地方は『巨人の墓場』として知られ、世界

市役所の四階に電燈をつけねばならぬほどの暗い大阪市に満足して平気でいたのである。

わが大阪市においても、もしも市民がもう少し科学的に進歩し、資本主義的工場経営

船場も、松島も、島も、自分一身上の都合で大阪市の空中掃除に賛成しただけで根本問題としては、充分理解がいっ

「諸君、大阪市の煤煙の問題は、もう多年の懸案でありまして、その被害は我々の

は成長の数であり上吉を表すものであります。さて大阪市の人々は今や百三十三万三千三百三十三人三分の一に増加し（「それは国政調査

「しかるにですな、九九、八十一人の市会議員諸君、大阪市の人口増加は出産と死亡の差にはよらないので、みな他の地方

他の地方から流入するために増加するものであります。大阪市内では死ぬ人の数が生れる人の数よりも多いのであります」

「これはなぜかと算盤を取ってみますと、まったく大阪市が不健康地であるということに起因しているのであります」

「大阪市の９×９＝81の市会議員諸君、なぜ大阪市にかくは死亡率が高くなった

「大阪市の９×９＝81の市会議員諸君、なぜ大阪市にかくは死亡率が高くなったかと言えば、それはまったく煙筒から出る煙

「すなわち大阪市は無用なる浪費をしているわけになるのであります。諸君は、金儲け

、診察料と、養生費とを計算するならば、我が大阪市のような都会においては実に大きな損害であると言わなければならない

して五人であれば九十日間であります。これを大阪市の人口百三十三万三千三百三十三人三分の一についてみますと、煤煙のために受ける

「そこで大阪市で毎年肺病のために、五人ずつ多く倒れると仮定すれば、一年間に

、日給の損害と、石炭代の損害を加えますと、大阪市の損害は実に莫大なものであります。これを表に現して読上げます

大阪市煤煙損害表

、労働運動界のユダである。彼のごとき売国奴を大阪市の市長としておくことは実にけしからぬことである。私は彼の

ある。彼が労働者を煽動し、新聞記者を煽動し、大阪市を撹乱していることはこれでもよくわかる。我らは彼を倒すまで

おられるのだから、……しかしどうも、賀川君、大阪市の煤煙には困ったものだね」

言われるそこのところをお聞かせ願いたいのです。また大阪市は近き将来において市区改正をせねばなりませぬので、あなた

さん、私の死後三百年の後になって、私が大阪市の繁栄に関して、意見を述べることの出来るのを非常に光栄に思います

たような、ケチなことをやらさないで、断然このさい大阪市の全動力の電力化を考えなくちゃ駄目だぜ！　私であれば思い切っ

思い切ってこのさい、朝鮮征伐をした勇気をもって、大阪市の全動力の電力化を絶叫するね。その点から言うと、ロシヤのレニン

その論拠はこうである。大阪市の恩人である豊臣太閤の認めている賀川市長は、何人が推薦するより有力

彼の私宅は、大阪市の南端後宮の木賃宿の裏にあって、家の広さは九尺二

た都市計画なるものは、淀屋橋筋を一直線に拡げて、大阪市の最大道路にしようというにある。

しかし、彼は考えた。大阪市は高速度鉄道も持たず、市を斜めに切る対角線道路も持っておらない

「おい、賀川、貴様は大阪市の煙筒から煙が少しも出ないようにすると言うじゃないか、いったいそんな

同じでしてね、自分が肺病にかかったのも、まったく大阪市に煤煙が多いからで、その煤煙防止運動をしてくれる賀川市長は実に

で、その煤煙防止運動をしてくれる賀川市長は実に大阪市の恩人であるはずだのに、お父さんが自分の商売仇のように、市会で

はそれを知っていようがな……。いったいお前がこの大阪市で珍重がられるのは、大阪の電燈はいつも暗いし、昼の日中に

禁止運動をする勇気があることを述べて、近いうちに大阪市で発明家大会を開くことにしたと発表した。その日の夕刊に

「一世紀の後に、なお大阪市が今日のごとき煤煙を持たねばならぬとすれば、大阪市民は全部肺

一の事業として、我らのなすべきことは、大阪市の煤煙を征服することであります。（拍手起る）このために、大阪市は

征服することであります。（拍手起る）このために、大阪市は世界一の嬰児死亡率を持ち、生れた赤ン坊千人のうち毎年三百人近く

を越えて徹底的に戦う積りであります。私らは、大阪市をこの煤煙の圧制より解放するために死も辞するものではありません。

「では、あなたはこの大阪市をどうする積りですか」

排斥するのは間違っていると思いまんな。あの人は大阪市の恩人やと、わたしは思いまんね」

「しかし、安治川君、大阪市のカフェーもどうにかせないかんぜ、まるで女郎屋のようだぜ。あれじゃ

ない。世界は深い眠に落ちている。が、彼は大阪市の罪悪と誤謬を思うとどうしても眠られない。狂気せるものの

から市の各方面を美しく掃除してくれる。このために、大阪市は開闢以来見たことのない芸術的の都市になるであろうと考えられた。

だけ迷惑を蒙っているかご存知ないでしょうが、このために大阪市には年々肺病人が増加し、死ぬ人の数が増しておりますから、

洪水について色々の噂が立った。大阪市全体に降った雨なら不思議でもないが、あまりに局部的に洪水が出

どういうわけか、市民の間には洪水の晩に大阪市全体に大入道の影が射したという噂が伝わった。それは、神戸の

持たずに歩けると思うて不思議に思うているのだ。大阪市に住んでいるお陰で眼までが梟のように変質しているのかい

畑も造らえてあります。花も植えてあります。大阪市の全住民が移住してもよいような設計も出来ております。どうですか

相談がまとまったので、市長の一行四名はまた大阪市の煙の中に舞い下って来た。

いては、そこに大きな島の形を発見したり、日本アルプスの槍ヶ嶽から、穂高、野口五郎の連峰を眼に浮べるのである。

がくっついていたりする。彼が新聞紙の広告の中の日本アルプスの連峰を思い浮べるというのも、この辺に深い心理があるのである。

とても君、この大阪じゃ養生はさせられないしね、宝塚へやってあるのだが、まったく大阪の空気は悪いね。どうにか、

サンフランシスコにおいても同様であった。ピッツブルグは世界における煙筒の都と

か！　アテネでも、パリでも、エペソでも、ローマでもみな守護神は女性です。

みな女性の守護神を持っているじゃありませんか！　アテネでも、パリでも、エペソでも、ローマでもみな守護神は女性です。

を持っているじゃありませんか！　アテネでも、パリでも、エペソでも、ローマでもみな守護神は女性です。

それでも、不品行は直らなかった。博多の芸者、直方の芸者のうちで、安治川の手をかけぬものはないと

た。彼は超人のごとく市中を見下した。天王寺の通天閣が遙か下に見えるようになった。彼はどれほど大きくなるか推測すること

船場君は壇に近づいて行って松島に私語した。するとさすがに興奮していた松島君がニヤリと笑い

「あなたは、松島とは市会で敵同志じゃありませんか。また殴られますぜ。私が

裏で立話しをしていたのだ。その間に松島の一派が乱入したものだから、菊子はすぐ君の所へ逃げて来

おとなしく縄についた。蛇の目の熊五郎は得意になって、松島の屋敷まで引上げた。

今日かりに、生駒山が噴火して、大阪はまったく昔のポンペイ市のごとく地下に埋没したとし

、彼の関係している消費組合大阪共益社のこと、神戸購買組合のことが頭に浮び、毎月の欠損のことに気がもめるか

の影が射したという噂が伝わった。それは、神戸の人間が、その朝小便に出たところが全大阪を見下す大入道が大阪

「今日は京都から華族見学団が視察に来るという電話が先刻かかって来たから、

市吏員が総同盟罷工をすると言うていた瞬間に、京都の堂上華族三十四名が、混乱の中に舞い込んできた。まず、市長

あったが、深夜で関西には列車がない、それで京都を経て奈良に回った。

「では『京都府庁に打合せのことあり』としてくれ、そうすれば旅費を支出

「よし、では『京都府庁に汽車の時間割の打合せ事項あり』とするからそれでよいか」

深夜で関西には列車がない、それで京都を経て奈良に回った。

喧嘩をした。それは土木課員が名古屋に出張して奈良に立寄らねばならないのであったが、深夜で関西には列車が

の泣き声がするので、飛び起きて尋ねると、隣の「松江さん」という親一人子一人の娘が抱き合って泣いているのであった

松江さんは、長らくメリヤス会社の職工であったが、煙の都の空気が

出来るようになったので、久方ぶりに博労町五丁目の毛布問屋恵比寿屋吉兵衛さんの所に遊びに行った。吉兵衛さんとは購買組合の関係

東京の発明家鼻垂れ先生と天狗先生の大阪入はまさしく天下の見ものであった

梟のように変質しているのかい？　俺たち東京の人間は闇には慣れないので、懐中電燈でも灯さなければ歩け

日中に灯を持って歩くのじゃないんだ。まったく東京に較べると大阪の街は暗くて歩けねえんだ。よくもまあ大阪人

酸素吸入器じゃないか？　大阪の空気があまり悪いから、東京のような森の街から大阪のような煙の街に来ると、これ

「なるほどなア、それでわかった。どうも東京の雨とくらべてみて、何だか黒ずんだ雨だと思ってい

なるほど、そうすると、東京の発明家は実に用意周到なものだと感心したのであった

「どうしようか？　大急ぎに着陸して東京へ帰ろうか？　」

二人は東京に帰る約束をした。で砲撃を受ける前に着陸して、素知らぬ顔

「私らは東京に帰ろうと思うて、梅田に行くところです」