正善寺 大貫村

耳を傾げると幽かに烏が啼いている。多分正善寺の杜で啼いているのだろう。母は仕事を取り片附にかかった。

に徳兵衛爺の家の頭ばかりが見えた。また彼方に正善寺の杉林が黒くなって見える。二人はとぼとぼと雪道を歩いて町の方へ

毎晩のように隣の大貫村に日が暮ると赤提燈が三つ歩いて来る。赤い提燈は

。……私は不意に先刻母が語って聞かせた大貫村の幽霊話を思い出して、急いで母の後に隠れて、しかとしがみついた。