隅田 伊豆 根津 東山 長命寺 萩 琉球 加茂 寛永寺 江戸 玉川 筑波 鈴鹿 川越 鎌倉 須磨 堀川 筑波山 石手寺 摺鉢山 淀川 根岸 松山城 松山 水戸 岡山 京都 神戸 徳島 奈良 上野 大宮 品川 神田 御茶の水 新宿 日比谷

不二こえたくたびれ※や隅田の雁

雪の日の隅田は青し都鳥

伊豆までは落ちず消えけり天の河

【根津のあとにて】

祗園清水冬枯もなし東山

【長命寺】

一日の旅おもしろや萩の原

ぬれて戻る犬の背にもこぼれ萩

吹きまくる萩に男鹿のふしど哉

踏み出ては月に鳴く也萩の鹿

萩薄月に重なる夕かな

琉球も蝦夷もはれたりけふの月

烏帽子着て加茂の宮守涼みけり

鶯や木魚にまじる寛永寺

八朔やこじきも江戸の生れにて

玉川に短き冬の日脚哉

不二を背に筑波見下す小春哉

馬子哥の鈴鹿上るや春の雨

ふらばふれ雪に鈴鹿の關こえん

枚笠一個簔は房州の雨にそほち笠は川越の風にされたるを床の間にうや／＼しく飾りて】

鎌倉は何とうたふか田植哥

鎌倉は村とよばるゝ青葉かな

鎌倉に波のよる見ゆけふの月

須磨を出て赤石は見えず春の月

堀川の滿干のあとや蓼の花

秋風や鳥飛び盡す筑波山

攝待や乞食だきつく石手寺

【石手寺】

味噌色に摺鉢山の紅葉哉

淀川や一すぢ引て燕子花

何※十二ケ月ト稱スル者ヲ作ルコト絶エズ　春根岸ニ遷ル　夏歸省ス　九月上京　十一月家族迎ヘノタメ神戸ニ行

【松山城】

明治十八年　夏郷里松山ニ歸ル○嚴嶋ニ遊ビ祭禮ヲ觀ル○九月上京

【松山城】

松山や秋より高き天主閣

【松山百穴】

【松山堀端】

【松山】

【松山】

【松山】

【松山】

【松山鴨川】

名月や伊豫の松山一万戸

【松山會】

【松山】

【松山堀ノ内】

【松山】

仝　廿二年　四月水戸ニ遊ブ徃復一週間○五月咯血　七月歸省九月上京不忍池畔

十日○六月木曾ヲ經テ歸郷　九月上京途中岡山寒懸ニ遊ブ○秋大宮ニ居ルコト十日　冬駒籠ニ居ヲ

【岡山後樂園　三句】

【岡山徳島等洪水】

ス　九月上京　十一月家族迎ヘノタメ神戸ニ行ク京都ヲ見物シテ上京○此年夏ヨリ日本紙上ニ投稿十二月ヨリ入社

【京都】

ル　夏歸省ス　九月上京　十一月家族迎ヘノタメ神戸ニ行ク京都ヲ見物シテ上京○此年夏ヨリ日本紙上ニ投稿十二月

【岡山徳島等洪水】

門へ來てひゝと鳴きけり奈良の鹿

町へ來て紅葉ふるふや奈良の鹿

神さびて鹿なく奈良の都哉

奈良の鹿やせてことさら神※し

仝　　廿年　春腸胃ヲ病ム上野ヲ散歩ス○夏歸省○九月上京

【上野】

神さびて秋さびて上野さびにけり

江戸人は上野をさして春の山

櫻より奧に桃さく上野哉

【上野】

五月雨は杉にかたよる上野哉

五月雨やけふも上野を見てくらす

時鳥上野をもとる※車の音

時鳥上野を戻る※車の音

葉櫻の上野は闇となりにけり

テ歸郷　九月上京途中岡山寒懸ニ遊ブ○秋大宮ニ居ルコト十日　冬駒籠ニ居ヲ遷ス○川越地方ニ遊ブコト

【大宮驛の醫師がり行きて】

大宮に秋さびけらし醫者の顏

【大宮氷川公園】

【品川】

【神田大火】

初汐や御茶の水橋あたりまで

新宿に荷馬ならぶや夕時雨　樗堂ノ句　荷をつけてしぐるゝ

赤煉瓦雪にならびし日比谷哉