くだもの / 正岡子規
地名一覧
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整えて上野の汽車に乗り込んだ。軽井沢に一泊して善光寺に参詣してそれから伏見山まで来て一泊した。これは松本街道
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たのである。あれはどこの鐘かと聞くと、東大寺の大釣鐘が初夜を打つのであるという。東大寺がこの頭の上に
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草鞋を買うて用意を整えて上野の汽車に乗り込んだ。軽井沢に一泊して善光寺に参詣してそれから伏見山まで来て一泊し
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は発達を異にするのはいうまでもない。日本の本州ばかりでいっても、南方の熱い処には蜜柑やザボンがよく出来て、
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いうような、まるで種類も味も違った菓物がある。江南の橘も江北に植えると枳殻となるという話は古くよりあるが、これ
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を食いし事 明治廿八年神戸の病院を出て須磨や故郷とぶらついた末に、東京へ帰ろうとして大坂まで来たのは
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まで来た。爰は木曾第一の難処と聞えたる鳥井峠の麓で名物蕨餅を売っておる処である。余はそこの大きな茶店に
が一匹繋いであった。余は女主人に向いて鳥井峠へ上るのであるが馬はなかろうかと尋ねると、丁度その店に休で
四の子供であったが、余はこれと談判して鳥井峠頂上までの駄賃を十銭と極めた。この登路の難儀を十銭で免れ
いう風に歓待をせられるのである。馬はヒョクリヒョクリと鳥井峠と上って行く。おとなしそうなので安心はしていたが、時々絶壁
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海岸を一直線に八郎湖まで来た。それから引きかえして、秋田から横手へと志した。その途中で大曲で一泊して六郷を通り過ぎ
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明治廿八年の五月の末から余は神戸病院に入院して居った。この時虚子が来てくれてその後碧梧桐も
○御所柿を食いし事 明治廿八年神戸の病院を出て須磨や故郷とぶらついた末に、東京へ帰ろうとし
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詩人にも歌よみにも見離されておるもので、殊に奈良に柿を配合するというような事は思いもよらなかった事である
時は柿が盛になっておる時で、奈良にも奈良近辺の村にも柿の林が見えて何ともいえない趣であっ
た。この時は柿が盛になっておる時で、奈良にも奈良近辺の村にも柿の林が見えて何ともいえない
思うて、病を推して出掛けて行た。三日ほど奈良に滞留の間は幸に病気も強くならんので余は面白く見る事
おこり始めた時で少し歩くのに困難を感じたが、奈良へ遊ぼうと思うて、病を推して出掛けて行た。三日ほど奈良
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ばかえって覆盆子も葡萄もこめられるわけになる。くだもの類を東京では水菓子という。余の国などでは、なりものともいうて
このいちごの事がいつまでも忘れられぬので余は東京の寓居に帰って来て後、庭の垣根に西洋いちごを植えて楽
神戸の病院を出て須磨や故郷とぶらついた末に、東京へ帰ろうとして大坂まで来たのは十月の末であったと
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事に定めた。菅笠や草鞋を買うて用意を整えて上野の汽車に乗り込んだ。軽井沢に一泊して善光寺に参詣してそれから