俳諧大要 / 正岡子規
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故何処も彼も降るといふわけには行かず、ただ比叡山の上ばかりに降つたといふことなり。配り足らぬとは初雪を擬人法に
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寺、衣掛柳、二月堂等は最も春に適し、三笠山のつづき、または春日社内より手向山近辺の木立、または木立の間に
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ばかりこぼれて禅寺めきたりとなるべし。(この句恐らくは南禅寺より思ひつきたらんか)是においてか神無月の語は一歩も動かざる
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風、時鳥に月、名月に雲、名所には富士、嵐山、吉野山、これらの趣向の陳腐なるは何人もこれを知る。しかれども
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鎌倉の街道をのす燕かな 尚白
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をや。世人は奇を以て美となす、故に松島の奇景を以て日本第一の美となす。誤れるの甚しきなり。
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は京、嵯峨、御室、大原、比叡、三井寺、瀬田、須磨、奈良、宇津、これらの趣向の陳腐なるは深く俳句に入る者に非
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あら海や佐渡に横たふ天の川 芭蕉
あら海や佐渡に横ふ天の河 芭蕉
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時鳥に月、名月に雲、名所には富士、嵐山、吉野山、これらの趣向の陳腐なるは何人もこれを知る。しかれども春雨に
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これなり。これけだし美術文学を解せざるの致す所か。富士山の形は一般の場合において美術的ならず。ただその日本第一の
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拠れば真の秋色桜の位置は此処にあらずして摺鉢山に近き方なりと)この意は井戸端に桜の咲きたるを見んとて酔
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浦山や有明霞遅桜 羽人
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芭蕉吉野にての吟なり。これは吉野の花の多きことを言へるものにして、そこら一面の花なれば月
一、芭蕉は自白して我に富士、吉野の句なしといふ、真なり。しかして彼また松島においても一句を
点は種々に言ひ尽して今は已に陳腐に属したり。吉野、松島の如きはその占有する所の空間広くして一見なほ幾多の時間
あらば、そは必ず松島の真景に非ざるなり。(吉野は我これを知らず、故に茲に論ぜず)
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に、春日社、廻廊の燈籠、若草山、南大門、興福寺、衣掛柳、二月堂等は最も春に適し、三笠山のつづき、また
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足柄の山に手を出す蕨かな
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は実景を知らぬ人はその味を解しがたし。試みに京都に行きてつくづくと東山を見るべし。低き山の近くにありてしかも頂
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一、 菊の香や奈良には古き仏たち 芭蕉
の咲く頃なりしなるべく、従つてこの句を以て奈良を現はしたるなるべしといへども、しかも菊花と古仏との取り合せは
も古仏も共に奈良にあるまでの事なり。作者の奈良に遊びし時あたかも菊の咲く頃なりしなるべく、従つてこの句を
、強ひて場所の関係を言はば菊も古仏も共に奈良にあるまでの事なり。作者の奈良に遊びし時あたかも菊の咲く頃
奈良七重七堂伽藍八重桜 芭蕉
、嵯峨、御室、大原、比叡、三井寺、瀬田、須磨、奈良、宇津、これらの趣向の陳腐なるは深く俳句に入る者に非れ
秋に比してなほ油のぬけたる処あり。古人の奈良四季の句を挙ぐれば
時の感は世人全くこれを知らざるなり。例へば奈良一箇処につきていはんに、春日社、廻廊の燈籠、若草山、南
非ず。否、京も秋ならざるべからざる所あり、奈良も春ならざるべからざる所あり。その他夏または冬ならざるべからざる
に然り。しかれども秋時京に行きたりとも、春時奈良に行きたりとも、全くその趣味欠くに非ず。否、京も秋
曰く、俳人京に行かんには春を可とす、奈良に行かんには秋を可とす、しかして後始めて名句を得
奈良阪や畑打つ山の八重桜 旦藁
蚊帳を出て奈良を立ち行く若葉かな 蕪村
菊の香や奈良には古き仏たち 芭蕉
奈良七夜ふるや時雨の七大寺 樗堂
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は西京の人これを知らざる者多く、西京の名所は東京の人これを知らざる者多きが如きなり。
四季の変化は何人も能くこれを知るといへども、東京の名所は西京の人これを知らざる者多く、西京の名所は東京の
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これは秋色といふ女が十三歳の時ものして上野の桜に結びつけたりとて、その桜を秋色桜と名づけ今も清水堂の裏手
郊外に散歩するも可なり。已むなくんば晩餐後の運動に上野、墨堤を逍遥するも豈二、三の佳句を得るに難からんや