吾妻橋 赤坂 雷門 銚子 熊谷 箱根 大阪 甲州 青森 前橋 静岡 東京 浅草 大宮 新橋 向島

ことを思い浮べながら、玉乗りのあった前を通っていると吾妻橋の近処に住んでいる友人に会った。

「赤坂へ行って、いないの」

雷門で電車を下り、公園を抜けて、千束町、十二階の裏手に当る近所を

――まア、一杯、どうです、お父さん」と、僕は銚子を向けた。

「こないだも大ざらいがあって、義太夫を語ったら、熊谷の次郎直実というのを熊谷の太郎と言うて笑われたんだ――

て、義太夫を語ったら、熊谷の次郎直実というのを熊谷の太郎と言うて笑われたんだ――あ、あれがうちの芸著

世間の評判を聴くと、まだ肩あげも取れないうちに、箱根のある旅館の助平おやじから大金を取って、水あげをさせたということ

青木というのは、来遊の外国人を当て込んで、箱根や熱海に古道具屋の店を開き、手広く商売が出来ていたものだが

まだ長襦袢がある。――大阪のある芸者――中年増であった――がその色男を尋ねて上京し

「あたい、賛成だ、わ。甲州にいた時、朋輩と一緒に五郎、十郎をやったの」

「そうじゃアない、わ。青森の人で、手が切れてからも、一年に一度ぐらいは出て

、ちょっと見ても、愛相が尽きる子だ。菊子が青森の人に生んで、妹にしてあると言ったのは、すなわち、

、商売がらでもあるが国府津を初め、日光、静岡、前橋などへも旅行したことがあるとかしゃべった。そのうち解けたよう

とか、商売がらでもあるが国府津を初め、日光、静岡、前橋などへも旅行したことがあるとかしゃべった。そのうち解け

「東京」

「東京はどこ？」

のが人情だ。国府津にいる間は可愛がってやろう、東京につれて帰れば面白かろうなどと、それからそれへ空想をめぐらしていた

「東京へ帰りたいの」

「どこへ、本郷座？　東京座？　新富座？」

ア、あんまり可哀そうだ、わ。あの人がいなけりゃア、東京へ帰れないじゃアないか、ね」

「おおきにお世話だ、あなたよりもさきに東京へ帰りますよ」

あたいをここには置いとけないのだから、たまに向うから東京へ出て来るだけのことだろう、さ」

労れた心を導いて、家のことを思い出させた。東京へ帰れば、自分の庭にもそれより大きないちじくの樹があって、

東京からは、もう、金は送らないで妻が焼け半分の厭みッたらしい

、もしその一座にはいれるとしたら、数年前に東京で買われたなじみが、その時とは違って、そこの立派な立て

お袋が来た時、早手まわしであったが、僕の東京住宅の近処にいる友人に当てて、金子の調達を頼んだことが

でいた。それももっともだというのは、僕が東京を出発する以前に、ようやく出版が出来た「デカダン論」のために、

傾けて赤くなったので、焼け酒だろうと冷かすと、東京出発前も、父の家でそう心配ばかりしないで、ちょッと酒でも

「東京へ帰ると、すぐまた浮気をするんだろう？」

僕の東京の住家は芝区明船町だ。そこへ着いたのは夜の十時

友人にでも出会ったら大変と、親しみのある東京の往来を、疎く、気恥かしいように進みながら、僕は十数年来つれ添っ

反動として、その哀れな境遇に同情を寄せた。東京からわざわざやって来て、主人には気に入りそうな様子が見えない

井筒屋の主人と住職とにステーションまで送られて、その夜東京へ帰って来た。

「浅草」

「浅草はどこ？」

僕はその封筒のおもてに浅草区千束町○丁目○番地渡瀬（これは吉弥の家）方野沢様と記し

吉弥は僕の方もまた出来なくなるかと疑って、浅草へ電報を打ったので、今度はお袋が独りでやって来たの

のそとの借金だけはお袋が引き受けることにして、すぐ浅草へ取り寄せの電報を打たせた。

いるだろうと思い、現に必要な物を入れてある革鞄を浅草へ取りに行った。一つは、かの女の様子を探るつもりであっ

（それも昼ごろから来ていたという）女は、浅草公園の待合○○の女将であった。

虎の門そとから電車に乗ったのだが、半ば無意識的に浅草公園へ来た。

「大宮」

へ電報が来た。吉弥の母からの電報で、今新橋を立ったという知らせだ。僕が何気なく行って見ると、吉弥が

出てから、ある安料埋店で朝酒を飲み、それから向島の百花園へ行こうということに定まったが、僕は千束町へ寄って