身毒丸 / 折口信夫
地名一覧
家原寺
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今度こそ帰つたら、お師匠さんに願うて、神宮寺か、家原寺へ入れて貰はうと思うてる。
鈴鹿
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、雪のやうな太股のあたりまでも射し込んだ。関から鈴鹿を踰えて、近江路を踊り廻つて、水口の宿まで来た時、一行
逢坂山
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瓜生野の田楽能の一座は逢坂山を越える時に初めて時鳥を聞いた。住吉へ帰ると間もなく、盆の
奈良
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ゐた。父親が姿を匿す前の晩に着いた、奈良はづれの宿院の風呂の上り場で見た、父の背を今で
横山のかげが、青麦のうへになびく野を越えて、奈良から長谷寺に出た一行は、更に、寂しい伊賀越えにかゝつた。草山
住吉
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身毒丸の父親は、住吉から出た田楽師であつた。けれども、今は居ない。身毒
住吉の御田植神事の外は旅まはりで一年中の生計を立てゝ行く
身毒は、住吉の神宮寺に附属してゐる田楽法師の瓜生野といふ座に養はれた子方
の一座は逢坂山を越える時に初めて時鳥を聞いた。住吉へ帰ると間もなく、盆の聖霊会が来た。源内法師はこれ
の信吉法師が行方不明になつた頃呼び戻されて、久しぶりで住吉に帰つた。氷上で娶つた妻も早く死んで、固より子もなかつた
踊りの手振りや、早業の復習の監督に暇もない。住吉の神の御田に、五月処女の笠の動く、五月の青空
ゐる。庭の松にも鶉の棲む日が来た。住吉の師走祓へに次いで生駒や信貴の山々が連日霞み暮す春の日
おまへらは、なんともないのかい、住吉へ還らんでも、かうしてゐても、おんなじ旅だもの。せめて