アルプス 谷川岳 新潟

「ご承知だろうと思いますが、アルプスなどとちがって、こちらには山案内人というようなものはいないのです

正午のラジオニュースで、菱苅安夫は長男の安一郎が谷川岳で遭難したことを知った。パアトナーは駒場大山岳部の大須賀というひとだっ

山岳部の大須賀というひとだったらしい。菱苅は安一郎が谷川岳へ行くことも、そんな男とパアティになったこともぜんぜん聞いていなかった

菱苅が大学にいるころ、自負心と冒険心から、谷川岳の幽の沢の奥壁ルンゼや、滝沢の上部をやったことがあるので

の上部をやったことがあるので知っているが、谷川岳の救援は、四組ぐらいのパアティに別れ、たがいに連絡をとりながらやらなく

忍んで、パアトナーの救援隊に便乗するとしても、谷川岳では、遭難者を一人ひきおろすのに、最低、五万円はかかる。そのほか

近くの黄昏の状態で、みな、くすみにくすんでいる。谷川岳など、飛んでもない話だ。

「そんなら、谷川岳へ行くなんて言わずに、すうっと出て来い……メチオニンを忘れずに。

二十三時五十分の上越線廻り新潟行というのがあるが、それだと翌朝の五時三分に土合