パリ ニース 巴里

されているので、研究に必要な所定の年月だけパリに止まるためには為替の率に応じて生活を下落させてゆかねば

。オリヴアの「中毒死及その実例」に、六年前ニースのホテルで起った事例が記述されている。ホテルの支配人は空部屋に燻蒸

、二人の勉強ぶりに感激して義侠的に三年の巴里遊学の費用をひきうけてくれ、いまここで勉強しているのはこのひと

の間、不退転の精進をした。そして十年前に巴里へやってきた。胸をおどらせてルゥヴル博物館へ飛んで行った。

のよ。アメリカならどうにかなるでしょうが、こんなせち辛い巴里じゃ日本人の働く口なんか、あるわけはないんだし、友達はみんなじぶん

彼は窓に倚って茫然と暮れかかる巴里の空をながめていたが、こちらへ振返ると当惑したようすでだまっ

おれはたぶん情慾だけの問題だとかんがえたのでスファシクス（巴里の公認女郎屋の名）へ出かけてみた。そしてこの感情は肉体の

上着のポケットへ放りこむと、彼を窓框に立たせて、巴里の屋根屋根をしばらく眺めさせてやった。彼は顔を顰めて、「